もともと詩は “ 声 ” だった――言葉が持つ音楽性を形にした意欲作

一言で表すとしたら「文学的音楽」......いや、「音楽的文学」でしょうか。文字の無い頃から存在したとされる「詩」は、もともとは “ 声 ” であり “ うた ” でした。今回、「詩」の持つ魅力を再発掘したのは、RME Premium Recordings『三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza』でも幻想的な歌唱を聞かせた小田朋美。WOWOWドラマ『春が来た』の音楽を担当する実力派ながら堅苦しさは微塵もなく、レコーディングにおいては歌うたびに新たな表情を見せます――文字によって定着された詩が生き生きと動き出し、それを支える三枝のピアノはまるで、詩集のページをめくる時に指先が感じる紙質をも描いているかのよう。

三枝・小田の世界観を捉えたのは、プロ音楽録音賞3年連続受賞の快挙を成し遂げたミック沢口氏。徹底したノイズ対策と 192kHz / 32bit の高音質収録をベースに、つねに新境地を開拓し続ける氏は、ボーカル用のマイクロフォンに無指向性のデジタル・マイクを採用する大胆なアプローチも。5chサラウンドのサウンドは、2chステレオとはひと味違った冒険的な仕上がりとなっています。また本作では、アナログ・ミックスをRME ADI-2 ProでDSD収録し、同じ演奏を異なる世界観で捉える実験が行われました。

『わたしが一番きれいだったとき:
When I was young and so beautiful』

三枝伸太郎 x 小田朋美

各種ストリーミング・サービス
Dolby Atmos stereo

※Spotifyは2chステレオのみ対応

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PCM 192kHz/24bit:2chステレオ
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MQA-CD 176.4kHz/24bit
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本作品のCDは、HPLならびにMQAでマスタリング処理された、CDプレイヤーで再生可能な3Dハイレゾ作品です。
お使いの再生機がMQAに対応している場合は自動的にデコードされ、PCM 176.4kHz/24bitにて作品を楽しむことが できます。
また、MQAに対応していない再生機器をお使いの場合でも、通常のCDフォーマットで ある44.1kHz/16bitにて作品をお楽しみいただくことができます。
なお、本CDでのHPLプロセッシングは、ヘッドフォンでのバイノーラル・リスニングはもちろん、通常のステレオ・スピーカーでも臨場感のあるサウンドを楽しむことができるように調整されております
(スピーカーで楽しむ場合はできる限り反射音が少ない環境でのリスニングを推奨いたします)

MQA-CDとは、音楽ファンがオリジナルのマスター・レコーディングを自宅、車、またスマートフォンでもストリーミングできるようにした画期的なオーディオ・テクノロジーです。
人間の神経科学に関する最新の研究に基づいて開発された、受賞歴のある英国のこのテクノロジーは、収録時の解像度と瞬発力のすべての要素をキャプチャーしています。
この繊細なレベルの音をキャプチャーすることで自然なサウンドを再現します。そして、リスナーは楽器と演奏者のイメージを3D映像のように鮮やかに感じ取ることができるようになります。
MQAは独自の「折り紙」折り畳み技術によって、音楽情報が含まれたデータは効率的にパッケージ化され、スタジオ・レコーディングのすべての情報が保持されています。

https://mqa.jp/

Track List

1 わたしが一番きれいだったとき 作詞:茨木のり子、作曲:三枝伸太郎
2 歌っていいですか 作詞:谷川俊太郎、作曲:三枝伸太郎
3 一日(いちにち) 作詞:谷川俊太郎、作曲:三枝伸太郎
4 宇宙食について 作詞:長久允、作曲:三枝伸太郎
5 愛憐(あいれん) 作詞:萩原朔太郎、作曲:三枝伸太郎
6 Blanca(ブランカ) 作曲:小田朋美
7 明日(あした) 作詞:佐々木幹郎、作曲:三枝伸太郎
8 Rain Song(レイン・ソング) 作詞:小田朋美、作曲:三枝伸太郎
9 B for Brazil(ビー・フォー・ブラジル) 作曲:三枝伸太郎
10 El pilla-pilla(エル・ピジャ・ピジャ) 作曲:小田朋美
11 北へ 作詞:三角みづ紀、作曲:小田朋美
12 足跡(あしあと) 作詞、作曲:三枝伸太郎

Credits

  • Shintaro Mieda : Piano
  • Tomomi Oda : Vocal
  • Masabumi Sekiguchi : Cello #6.10.11
  • 収録日時・場所:
    2017年 10月 5, 6日
    三鷹市芸術文化センター 風のホール
  • 録音、ミックス、編集、マスタリング:
    Mick Sawaguchi(沢口音楽工房)
  • 録音フォーマット:
    PCM 192kHz / 32bit (Float)
わたしが一番きれいだったとき 【ダイジェスト】
インタビュー「三枝伸太郎 × 小田朋美」
※ 当ビデオの演奏はプロモーション用に収録されたものであり、実際の製品版の演奏とは異なります。
三枝 伸太郎

三枝 伸太郎  (作曲・編曲・ピアノ)

1985年 神奈川県出身。東京音楽大学大学院音楽科作曲専攻修了。アルゼンチンタンゴのピアニストとして、2008年よりバンドネオン奏者、小松亮太氏のコンサート・ツアー、レコーディングに参加。その後、タンゴのみならず ジャズ、ポップス、ブラジル音楽など様々なジャンルで活動する。また作曲家として、シンガーへの楽曲提供、映画・演劇やダンスのための音楽など数多く手掛ける。映画音楽の仕事として、『忘れないと誓ったぼくがいた』『あぁ...閣議』など。2017年には歌舞伎俳優、坂東玉三郎の歌うシャンソンアルバム『邂逅~越路吹雪を歌う』にて音楽監督を務める。「喜多直毅クアルテット」「Tango-jack」のメンバーとして活動、2014年自身のオリジナル曲を主に演奏する「三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza」を結成、モダンタンゴからジャズ、現代音楽の要素を含むオリジナリティある作品を発表し続けている。


小田 朋美

小田 朋美  (作曲・編曲・ヴォーカル)

1986年 神奈川県出身。東京芸術大学音楽部作曲科卒業。作曲家、ヴォーカリスト、ピアニスト。ソロ活動に加え、「CRCK/LCKS」ヴォーカリスト、「DC/PRG」キーボーディスト、「cero」ライブサポートメンバー、詩と音楽のコラボレーション集団「VOICE SPACE」コンポーザー、日本各地で行われる津軽三味線の名手・二代目高橋竹山の演奏会ピアニストや、CMやドラマなどの映像音楽制作など、多岐にわたる活動を展開している。2013年 1stアルバム『シャーマン狩り』(共同プロデュース:菊地成孔)発売、2017年ミニアルバム『グッバイブルー』を発売。映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』の音楽を菊地成孔と共に担当、WOWOWドラマ『春が来た』の音楽を担当。


関口 将史

関口 将史 (チェロ)

1983年 東京都出身。都立芸術高等学校音楽科、東京藝術大学器楽科卒業。3歳からチェロを始める。スタジオワーク、アーティストのサポート演奏、編曲、レコーディングを中心に、自身のプロジェクトまで幅広く音楽活動を展開するチェロ奏者。インストポストロックバンド、「Ja3pod」(ジャミポッド)主宰。「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」「phonolite strings」「VOICE SPACE」のメンバーとして活動。小田朋美、なつやすみバンド、ものんくる、cero、あだち麗三郎、古川麦、中村翔、うつくしきひかり、kaco等にサポートアーティストとして参加。

Mick Sawaguchi (ミック沢口)

Mick Sawaguchi (ミック沢口) (エンジニア)

1971年千葉工業大学 電子工学科卒、同年 NHK入局。ドラマミキサーとして「芸術祭大賞」「放送文化基金賞」「IBC ノンブルドール賞」「バチカン希望賞」など受賞作を担当。1985年以降はサラウンド制作に取り組み海外からは「サラウンド将軍」と敬愛されている。2007年より高品質音楽制作のためのレーベル「UNAMAS レーベル」を立ち上げ、さらにサラウンド音楽ソフトを広めるべく「UNAMAS-HUG / J」を 2011年にスタートし 24bit/96kHz、24bit/192kHz での高品質音楽配信による制作および CD制作サービスを行う。2013年の第20回日本プロ音楽録音賞で初部門設置となったノンパッケージ部門 2CHで深町純『黎明』(UNAHQ-2003)が優秀賞を受賞。2015年には第22回日本プロ音楽録音賞・ハイレゾリューション部門マルチchサラウンドで『The Art of Fugue(フーガの技法)』が優秀賞を、続く第23回では、ハイレゾリューション部門マルチchサラウンドで『Death and the Maiden』が優秀賞を受賞。さらに第24回日本プロ音楽録音賞の前同部門において最優秀賞を受賞し、3年連続受賞の快挙を成し遂げる......ハイレゾ時代のソフト制作が如何にあるべきかを体現し、シーンを牽引しつづけている。

写真:三田村亮