The Story of PPG ─ Staff Blogにて好評連載中
シンタックスジャパンStaff Blogにて、ドイツのシンセサイザー・メーカーPPGの創業者Wolfgang Palmの開発者ストーリーを連載にてお送りしています。RMEとも通じるドイツの小規模なスタートアップ・ベンチャーが、日米の巨大メーカーとどのように張り合っていったのか。技術的にもSSMフィルターをデジタル音源に付与することで独特のPPGサウンドを形成するに至ったWave2.2の成功や、Fairlightのサンプラーの登場とその競争背景、シンクラビアとのハードディスク・レコーディング競争等々、興味深い内容が満載のストーリーを、博覧強記で知られるシンセサイザー・マスター玉山詩人氏の監修によりお届けいたします。ぜひお楽しみください。
Part 2 シンセ・サウンドとの出会い(自作のVCO)
ウォルフガング・パームの最初のシンセサイザーはVCO、VCA、EGで構成されていた。すなわち、発振器とアンプ、そしてそれらの時間的変化を制御するエンベロープ・ジェネレータのみしか存在せず、VCFつまりフィルターは搭載していなかった。なぜなら、彼が聞いて衝撃を受けたキース・エマーソンのシンセ・ソロのフレーズの特徴はポルタメントによる音程の連続変化だったからである。フィルターは搭載していないものの、パーム氏の自作シンセはキーボードに至るまで "Dr.Boehm" のオルガン作成キットのマニュアルを基に自作された。それはキーの接点のハンダ付けまで自身で行った見事なものだった。しかし、フィルターなしではモーグ・シンセサイザーのサウンドに近づくことは難しかった。その独特なモーグ・フィルターの秘密は意外なきっかけで垣間見ることになるのである。
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