RME Fireface UFXシリーズとFireface UCX IIには、ダイレクトUSBレコーディング機能が搭載されています。本体にあるUSB-A端子にUSBのHDDやメモリ・スティックなどのストレージ・デバイスを接続することで、本体の入出力(UFX II / UFXは最大で計60チャンネル、UFX+は最大76チャンネル、UCX IIでは最大40チャンネル)のオーディオ信号を24bitインターリーブのWaveファイル形式でレコーディングすることが可能です。
DURecを使用する際は、必ずお使いのインターフェイスのファームウェアとドライバーが最新のバージョンになっている事をご確認ください。最新のファームウェアとドライバーのバージョンの確認ならびにダウンロードは下記より行うことができます。
http://synthax.jp/drivers.html
※ DURecの詳細や活用例については「DURec技術情報」をご参照ください。
3. 録音する
Fireface UFX+ / UFX II / UFX / UCX II のDURecは、本体パネルにMS-DOS(FAT32)・第1パーティションかつ、パーティションマップをマスター・ブート・レコードでフォーマットしたUSB接続のメディアを接続することで直接録音/再生が行えます。
FAT32のフォーマットであるため、保存されるデータは2GB毎に分割されます。
主にお使いいただけるメディアとしては、選択肢が低コストで多くありますが、逆にハイスペックでも品質が低いメディアはトラブルの原因になることがありますので、以下を参照してメディアを選ぶことをお勧めいたします:
小型のマイクロSD-USBアダプターで使用すると、小型のサムドライブのようになります。マイクロSDカードが主に使われるカメラはバッファリング用のメモリがあまりないため、これらのカードは書き込みの一時停止がないように作られています。高速連写や高解像度の動画が必要とするメディア・パフォーマンスはDURecが要求するものと似ています。さらに、このマイクロSDカードは安価です。ただし、最高のパフォーマンスを得るためには、U3とV30仕様のカードである必要があります。また、これらのカードは、通常exFATでフォーマットされているため、DURecで使用するにはカードを完全に消去して新しいボリュームを作成し、FAT32でフォーマットする必要があります。
安価なSATA SSDとUSB 3-SATAアダプター・ケーブルを使用し、SSDをFAT32にフォーマットすることでフルパフォーマンスが得られます。
・WD Green SATA-SSD / USB3-SATAアダプター
標準的なUSBメモリーよりも少し高価ですが、一時停止することなく優れた書き込み性能を備えています。
これらの古いハードドライブは、FAT32にフォーマットした後、問題なく動作し、完全に使用することができます。
本テスト・リストは国内での限定的なテスト結果であり、RMEが正式に推奨しているものではございません。USBメディアのメーカーにより内部ハードウェアが変更される場合があるなど推奨ドライブを提示することは困難なため、本リストは参考資料として掲載していますことをご了承ください。製品のご採用は、お客様ご自身の責任においてご判断いただけますようお願いいたします。これらの情報を元に製品をご使用になったことに起因して生じた損害に対し、Audio AGと株式会社シンタックスジャパンはデータの保証やいかなる性質の損害賠償請求、間接損害の賠償請求は受けかねます。
HDDドライブは各部の温度が上がると熱膨張によるオフトラック現象が発生します。これを補正するためほとんどのHDDはサーマルキャリブレーションと呼ばれる補正動作を行います。この補正動作中はデータ転送がわずかに途絶え、エラーとして検出されます。そのためDURecのご使用にはSSDなどのフラッシュメモリ製品のご使用をおすすめします。
お使いになるUSBメディアの動作確認方法については「メディアのパフォーマンスを確認する」の箇所に記載がございます。
DURec機能で使用するUSBストレージ・デバイスは、FAT32形式のマスター・ブート・レコードでフォーマットされている必要があります。
ダイレクトUSBレコーディング機能で使用するストレージ・デバイスをコンピュータに接続して、「アプリケーション」→「ユーティリティ」フォルダにある「ディスクユーティリティ」を起動します。左側の欄で対象のデバイスを選択した後、「消去」ページでフォーマットに「MS-DOS(FAT)」を、方式に「マスター・ブート・レコード」を選び、消去(フォーマット)を実行してください※。この操作により、FAT32形式でのフォーマットが可能です。
デバイスのフォーマットを行う際には、選択されたデバイス内のデータがすべて消去されますので、十分注意して作業を行ってください。
容量の小さいストレージ・デバイスの場合は、コンピュータに接続して対象のデバイスを右クリックして表示されるメニューから「フォーマット」を実行してください※。特に、2GB以下のデバイスは古いFAT(FAT16形式)でフォーマットされていることがありますので、必ずFAT32形式でフォーマットを行ってください。
なお、Windowsでは32GBを超えるサイズのストレージ・デバイスは標準ではFAT32形式でフォーマットできない問題があります。この問題の詳細、および回避手段については弊社のサポート範囲外となりますので、大変お手数ですが個別にお調べください。
デバイスのフォーマットを行う際には、選択されたデバイス内のデータがすべて消去されますので、十分注意して作業を行ってください。
FAT32形式でフォーマットされたUSBストレージ・デバイスを、RMEデバイスの本体パネルにあるUSB端子へ接続してください。デバイスが認識されると、自動的にイニシャライズが開始されます。イニシャライズ中は、本体ディスプレイでは「Initializing」、TotalMix FXの画面右下のDURecセクションでは「Wait」と表示されて、デバイスの空き容量がカウントされていきます。
USBメモリ等の容量の小さいデバイスでは、イニシャライズは一瞬で終了します。ハードディスクのように容量の大きいデバイスは、イニシャライズに時間が掛かることがありますのでご注意ください。目安として、200GBにつき約30秒ほど掛かります。
イニシャライズは自動で終了します。終了した時点からレコーディングが可能になります。
TotalMix FXには、右下に「DURECorder」というダイレクトUSBレコーディング機能を制御するための項目があります。また、その中にある「Record View」ボタンを押すことで、入出力チャンネルのMute/Solo/CueボタンをPlay/Recボタンへ切り替えることができます。
「DURECorder」が表示されていない場合は「Layout Presets」「Groups」「Snapshots」の順番で各アイコン横の矢印をクリックしセクションを閉じてください。画面にスペースが生まれ「DURECorder」セクションにアクセスができるようになります。
DURECorderウィンドウの各機能の操作は次のとおりです(右図を併せてご参照ください)。
レコーディングを開始すると、新規ファイルが自動的に作成されます。
「Record View」ボタンを押した場合の、入出力チャンネルのPlay/Recボタンは次のように機能します。
[Play]ボタン: クリックして表示されるウィンドウで、再生するトラックを設定します。再生するチャンネルは連続したチャンネルとなります。(ch1/2やch2/3 など)
[Rec]ボタン : 押すと点灯状態(ON)になり、このチャンネルのレコーディングを行います。
入力チャンネルで再生した音は、DAW等のアプリケーションのインプットへ入力されます。
ライブ会場などでのサウンドチェックを行う場合は、接続している出力チャンネルで再生する音をアサインします。新しく物理的な入力の接続を行う必要はありません。
Fireface UFX+ / UFX II にUSB メディアが接続され認識されると、本体のディスプレイに Record / Playback(録音/再生)ページが表示されます*。[REC/PLAY]ボタンを押した時も同じ動作をします。各機能の内容はTotalMix FXでの機能に準じます。
Fireface UFXの場合は、本体の「Meters」ボタンを押すと、ディスプレイに「Record/Playback」画面が表示されます。
・エンコーダー・ノブ1 を回すとRec/Play が表示され、USB Media、Record、 Playback、Time & Date を設定できるサブページが表示されます。
・エンコーダー1/2を押すことで、カーソルを上下に移動できます。
・エンコーダー2を回すと、現在カーソルで選択されている部分のパラメーターを操作できます。
最下段の時のみ、エンコーダー2を回してボタンの位置を切り替え、エンコーダー2を押して実行します。録音中には、USB転送負荷とエラー発生数が表示されます。右図のように、USB転送負荷が大きくなり、100%を大きく超える場合は、書き込みエラーが発生します。
[CHAN/MIX]ボタン*を1回押すことで、各チャンネルの設定を操作できます。設定項目の中に「Record」「Play Channel」の2つのパラメーターが追加されています。
[Record] : 録音のON/OFFを行います。
[Play Channel] : 再生するトラックを設定します。
UFXの場合は[Channel]ボタン
このセクションにてお使いのUSBメディアの書き込みスピードを確認することができます。書き込みスピードが遅い場合、録音中にエラーがカウントされ、ノイズなどが発生します。本番の前には必ずメディアのテストを行い、お使いのメディアに十分な書き込み速度があるかどうかをご確認いただくことをお勧めいたします。
また、Repeat single(1トラックを繰り返す)Repeat all(すべてのトラックを繰り返す)Single next(現在のトラックを再生し、再生せずに次のトラックに切り替える)などのオプションもあり様々な再生環境に対応することができます。(UFXの場合は、要Firmwareアップデート)
Time & Date:UFX II ならびにUFX+には TotalMix FX が動作しているコンピューターに接続した際に自動設定されるリアルタイム時計が搭載されています。時計は録音された DURec ファイルに現在の日付と時間(ファイル属性)を書込むために使用されます(タイムスタンプ)。日付と時間はこのダイアログでも簡単に手動で設定可能です。
録音されたデータはRMEデバイスが動作しているサンプル・レートで、インターリーブ形式のWaveファイル(.wav)として記録されます。解像度は24bit固定となります。また、レコーディング時は2GBを超えた時点で自動的にファイルが分割されて保存されます。その際は、効率良くWAVファイルを処理する、RMEのDURec対応ソフトウェアのMultichannel WAV File Batch Processorが役立ちます(ソフトウェアの詳細はこちら)。
また、あらかじめUSBストレージ・デバイスにWaveファイルが収録されている場合も、DURec™を使って再生することが可能です。この場合、サンプル・レートは変換されませんのでご注意ください。
異なるサンプル・レートのファイルはピッチが変わって再生されます。
同時録音可能チャンネル数は、ご使用されるUSBストレージ・デバイスの性能によって制限されることがあります。ご参考までに、デバイスのデータ通信負荷が100%を超えると、エラーが起こる可能性があります。
上記に加えて、高サンプル・レートで録音を行う場合は下記のチャンネル数が動作保証上限となります。この制限は各RMEデバイスのデータ通信仕様によるもので、高性能なストレージ・デバイスを用意した場合でもこれを超えたチャンネル数での録音は推奨致しません。
DURecは、高いサンプル・レートやチャンネル数が増加すると、データ転送量も増加し、USBメディアの性能によっては、RMEデバイスが備える内部バッファーよりも長い時間書込み処理が中断することにより、データの損失が生じることがあります。インターリーブとしてまとめて録音することにより、バラバラで録音するよりもメディアへの負荷を少なくなるように設計されていますが、メディア自体のパフォーマンスを確認することは重要です。
様々にあるメディアのパフォーマンスを前もって確認し、書き込み処理が中断しないメディアの確認をRMEデバイスにて行います。
お使いのメディアで使用できる最大チャンネル数を測定するには、48 kHzで全チャンネル(録音可能チャンネル数内)を有効にします。
例えばFireface UFX+の場合、この設定では最も高いデータ処理量(10.7 MB/s)となり内部バッファーは最小になります。
ほとんどのメディアでは、エラーなしで空き容量がなくなるまで録音できますが、エラーが表示された場合は、エラーが表示されなくなるまでチャンネル数を徐々に減らしていきます。
192 kHzで15チャンネルは、96 kHzで30チャンネル、48 kHzで60チャンネルに相当します(8.3 MB/s)。
そのため、チャンネル数が多い場合は192kHzでパフォーマンスの確認を行うことである程度の限度を確認することが可能です。
正確なチャンネル数を確認したい場合は、48 kHzでの確認をお勧めいたします。
より実用的な例としてFireface UFX+の場合、192 kHzで MADI 16チャンネル と1つのサブミックス(合計 18チャンネル)の録音です。9.9 MB/sであれば質の良いメディアであれば問題なく録音できます。
これは48 kHz 動作時の72チャンネルに相当しますので、MADI 1系統分に加え、追加したマイク8チャンネル分の入力が録音できる換算になります。
Fireface UCX II の場合は、192kHzで録音可能な最大チャンネル数である16チャンネルを有効にすることで、最大負荷チェックすることが可能です。Fireface UFXII / UFX についても同様で、48kHzでの録音の場合は192kHzに比べて負荷が軽くなることが理由です。
ディスプレイ上のUSB Load、Max Write Timeやエラー表示によって、特定の USBメモリの限度を素早く確認することができます。
再生の場合は、上述のパフォーマンスの問題は通常影響しません。
RMEが提供するマルチチャンネルファイルコンバーター"Multichannel WAV File Batch Processor"を利用することで、DURec™で録音したマルチチャンネルファイルをモノラルに分割する事が可能です。
さらに、複数のファイルをDAW のプロジェクトに読み込んだ場合、複数のファイルを繋げるには手動での微調整が必要になりますが、WAV Processor を使えば連続した複数のファイルを繋ぎ目のない1 つのファイルに統合する事ができます。
インターリーブファイルの「統合」と「分割」が可能なWAV Processorを使う事で、作業効率を向上させます。
RME Multichannel WAV File Batch Processor(Windows版|Mac版)ダウンロードページ
また、代表的なDAWでもDURecの録音データを展開することが可能です。
【参考資料】
Fireface UFX & Pro Tools 9:システム活用法 Part 1「DURec™(ダイレクトUSBレコーディング)」編
DURecの技術情報や活用例についてはDURec技術情報をご参照ください。