こんにちはシンガーソングライターの辻敦尊(つじあつたか)です。前回と前々回では作曲スケッチ作業の中で“TotalMix FX”のEQやコンプの掛け録り方法についても触れましたが、今回はその応用編ともなるReverbの掛け録り方法についてご紹介したいと思います。
一般的に空間系のエフェクトはレコーディング時に演奏者のモニター音に対してのみ掛けて、実際に録音される音に対しては掛けない場合が多いものです。それは後のミックスダウン作業を行いやすくする為の工夫だったりするのですが、場合によっては録った音素材を出来るだけすぐに、そしてなるべく聞きやすい状態で人に渡す事が必要となるケースもあったりします。そうしたケースには今回ご紹介するReverbの掛け録り方法が大きな効果をもたしてくれるかと思いますので一つの参考としてみて下さい。
それでは早速手順の紹介に入っていきましょう。
Reverbを掛け録りする音声信号はFireface UFXのフロントパネルにある10チャンネルへマイクで入力し、Reverb音を混ぜた状態でMainアウトから出力させる事を例に説明していきます。(Mainアウト=アナログ1/2に設定)
※入力チャンネルの設定やReverb設定については本活用法のPart3を参考にして下さい。
II. 録音用トラックを作成し、インプットチャンネルとアウトプットチャンネルを選択します。
※今回の例ではインプットもアウトプットも1-2チャンネルを選択しています。
III. 作成した録音用トラックを録音待機状態にした後、録音フェーダーを下げ切っておきます。
注意:不要なフィードバックがおこらないための操作なので必ず行うようにして下さい。行わなかった場合には耳や機材を傷める事につながる可能性もありますので十分にご注意下さい。
この状態でProToolsの録音を開始すれば、Mainアウトから出力されているそのままの音(Reverbの掛かった音)がProToolsのインプット1-2へ送られ録音されます。
録音用トラックの録音待機状態を解除して再生を行えば“TotalMix FX”のSoftware Playback“AN 1/2”から“手順3”で録音した音声信号が出力されます。
※この時Software Playback“AN 1/2”のルーティング設定を忘れないようにして下さい。
さぁ、実際にやってみると意外と簡単だったのではないでしょうか?今回ご紹介しました活用法は“TotalMix FX”のループバック機能を用いて行ったものになります。ここを理解していただけたのであればきっと“TotalMix FX”の可能性はさらに拡がってくる事間違いなし!かと思います。アイデア次第で様々な応用方法につなげていけますので皆さんもアイデアを駆使しながらそれぞれの活用法を見つけていってみて下さい!!
辻 敦尊
本連載アーカイブ
・Fireface UFX & Pro Tools 9:システム活用法 Part 1 「DURec™(ダイレクトUSBレコーディング)」編
・Fireface UFX & Pro Tools 9:システム活用法 Part 2 「キュー・ミックス作成方法」編
・Fireface UFX & Pro Tools 9:システム活用法 Part 3 「マイクプリアンプを活かした作曲スケッチ作業」編
・Fireface UFX & Pro Tools 9:システム活用法 Part 4 「外部スタジオで行う作曲スケッチ作業時のセッティング方法」編
TotalMixループバック活用ガイド
シンガーソングライターとしての活動を中心としながら、作詞家、作曲家、アレンジャー、プロデューサー、映像や舞台の音楽監督、サウンド・デザイナー、ボイストレーナー、ライターなどとしても活躍中!シンセサイザーやコンピューターを用いた音楽制作では定評が高い。
日本シンセサイザープログラマー協会 理事(JSPA)
オフィシャル・サイト http://www.at-music.net/