RME導入事例
プロサウンド誌でサラウンド寺子屋塾のレポートを執筆されている沢口真生氏は実は大のJAZZファン。趣味が講じて三鷹にLIVESPACE『ウナマス
(UNA MAS)』をつくってしまった。『ウナマス(UNA MAS)』に一歩足を踏み入れると、その静寂さに客は驚く。 「特別な防音工事をしているわけでないのだけれども」と沢口さんは謙遜して話されるが、さりげない吸音材の設置や壁や天井の素材選び、音響レイアウトにプ ロサウンドエンジニアとして長年培った燻し銀的経験が随所に生かされている。圧巻はそのマイク選びとセッテイングの絶妙さだ。1年を有に超える時間を費や して微妙に調整されたマイクセッテイングとマイク種類の多さに驚かされる。 日本を代表する業務用コンデンサーマイクロフォンの雄、三研マイクロフォン社の音楽用最高級モデル、100Khzまでの広域録音が可能なCO-100Kを 2本、アーム型マイクスタンドで固定している。狭いスペースではブームスタンドが設定できないためだが、ベースとのかぶりを最小限に食い止める為の知恵が ここにある。 狭いライブハウスでは前述の生ピアノとの音のカブリを防ぐためにダイレクトボックスを使用したライン録音が一般的だが、UNA MASではダイレクトボックスを一切使用しない。ここに沢口さんの音へのこだわりがみてとれる。 最近の原音回帰にこだわるエンジニアの間で再評価されているリボンマイク。そのなかでも先鞭を切ったRoyer Lab社のR-122リボンマイクを使用することで中低域がダイナミックに録音されている。又Erthworks SR-20やSANKEN CU-44Xを併用することでウッドベースのアッタッキーな音や弦の響きなど演奏気配そのものも忠実に録音されている。 ドラムオーバートップマイクロフォンはSEElectronicsSE-3が二本使用されている。圧巻は沢口さん自作の可動式天吊りマイクスタンドだ。ド ラムサウンドの忠実な再現だけで一年を費やしたと言う。毎回録音してはマイク位置を移動してベストポジションを探り当てるといった気の遠くなる作業の結 果、位置決めだ。「何も足さない。何かも引かない」録音は一夜にしてはできない。正に「ローマは一日して成らず」 スネアはすでに製造中止になってしまったAKGD-224Eダイナミックマイクロフォンだが、正面特性の素晴らしい名器だ。ハイハットはSANKEN CU-32そして最近はEARTHWORKS CR-20等、カブリのすくなさでは定評ある音楽録音専用コンデンサーマイクロフォンだ。スタジオの定番であるAKG-C-451をあえて避けている独自 のこだわりも大切な要素である。 UNA MASの天井をよくみると後方の天井にAMCRON PCC-160が四台設置されている。沢口さんのNHK時代,盟友濱崎公男さんが提唱するHAMASAKI-SQUEAR SURROUND方式を採用している。サラウンド伝道師としての沢口さんの面目躍如だ。
余談だが、当社はドイツ法人なのでサウンドマイスターを取得した社員がドイツ本社には多い。ドイツの放送局に入社するにもマイスターを取得しなければなら
ない。彼ら曰く、ドイツのサウンドマイスターの教科書には 「HAMASAKI-SQUEAR
SURROUND方式」や「Fukada-Tree」が記載されている。サラウンド録音では日本が世界の先端を走っているのだ。
LIVESPACE『ウナマス(UNA
MAS)』のもうひとつの秘密兵器がライブ録音用に設置された「ピラミックスDAWシステム」だ。『ウナマス(UNA
MAS)』で録音したデータは脱着式のハードドライヴで自宅スタジオに持ち帰られ、ここでもう一台の「ピラミックスDAWシステム」でミキシング編集され
る。マイキングを重視する沢口さんは、ほとんどエフェクターの後処理をおこなわない。空間の音を「なにも引かず、足さず」に録音することに徹する。そんな
沢口さんのお眼鏡にかなったのが「RME OctaMic II」欧州放送局での実況録音で鍛えられたタフなデバイスだ。
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沢口真生 Masaki Sawaguchi 1948年生まれ。1971年千葉工業大学電子工学科卒。同年NHK入局。1975年より放送センター制作技術局音声、1987年音声チーフエンジニア。 1999年音響デザイン部長。2003年制作技術センター長の要職を歴任。2005年パイオニア株式会社技術開発本部顧問に就任。専門分野はドラマのサウンドデザイン。 1985年以降はデジタル時代のサラウンド音声スタジオ設備設計とソフト開発に従事。 1995年第1回IBCワイドスクリーンAWARDグランプリ受賞作ハイビジョンドラマ「最後の弾丸」を担 当。 1991年よりAES を中心としてサラウンド制作の技術発表やワークショップ等を担当。JASではAA懇話会マルチチャンネルグループ主査として次世代オーディオの方向付けに 貢献。92〜96年にかけHD-TV MSSG研究会でハイビジョン時代のサラウンド制作に必要な音響設計ガイドラインを策定。その成果はAESにおけるサラウンド制作ガイドラインに反映され た。 近年はInterBEE国際シンポジュームの企画運営、JPPA -AWARDミキシング部門審査員やAES 技術委員会スタジオセクションの共同議長を務める。またサラウンド制作を作曲家・アーティスト・デザイナー・エンジニア等への普及のためにサラウンド寺子 屋塾を主宰している。 2002年AESよりサラウンド音響への貢献でフェローシップ受賞、2003年にはヨーロッパIBSよりフェローを受賞。2004年には「放送におけるサ ラウンド制作」の論文でABU最優秀論文賞を受賞。「サラウンド制作ハンドブック」(兼六館)はじめ著書多数 LIVESPACE『ウナマス(UNA MAS)』のメインプレイヤー「原 大力 & His Friends Vol.1」CDが昨年、12人の評論家が選ぶ優秀盤オーディオグレート in 2007 Winter賞を受賞したのは記憶に新しい。2007年12月からそれまで使用していたHAに替わり発売前の本機をオーダー可能かとリクエストしてきた熱 意に応えこのHAが稼働をはじめ、「原 大力 & His Friends Vol.2」ライブ録音版がRME OctaMic IIを使って録音された。「原 大力 & His Friends Vol.2」は近日沢口音楽工房から発売される(*7月1日より発売が開始されました:http://www.unamas.jp/)。その発売を記念してRMEファンにこのCDを限定プレゼントする(CDプレゼントキャンペーン詳細)。UNA MASでのRMEサウンドじっくり聞き込んでほしい!! 関連URL: 快適生活音空間 UNA MAS 日本オーディオ協会 サラウンド寺子屋 ピラミックス |