RME導入事例
導入事例
高い解像度と圧倒的な機能群を備えるハイエンド・コンバーターとして革新的な進化を遂げてきたRMEのADIシリーズに、新たなマスターピースとして登場したADI-2/4 Pro SEを、麻倉怜士氏、山之内正氏、生形三郎氏の3人にレビューいただきました。
RMEから登場したフラグシップ・マスター・コンバーター「ADI-2/4 Pro SE」は、同社のリファレンス・クラス・マスターAD/DAコンバーター「ADI-2 Pro」シリーズの最新モデルで、今回のSE化にあたっては大きく次の4つの刷新ポイントがある。
それは、①AD/DAコンバーター部の音質強化、②DAコンバータ部の4chアナログ出力対応、③ヘッドホンアンプ部への4.4mm 5極バランス端子対応、④「RIAAモード」 機能の搭載、である。
これらにより、全体的なさらなる高音質化をはじめ、アウトボード使用時のライン出力モニタリング、バランス駆動によるダイレクトモニタリング、レコード再生&アーカイブ機能が実現されている。筆者は前モデルとなる「ADI-2 Pro FS R Black Edition」をリファレンスAD/DAコンバーターとして愛用しているので、両者の比較を交えて本機のレビューを簡潔にお届けしたい。
前作から大きな正常進化を感じる内容だ。まさに、筆者が前モデルに対してもっとこうなったら更に良いと思っていた部分が実現されている印象なのだ。それは大きく2点あり、まず1つは、S/N感の向上による、立体感や空間の明瞭性の高まりである。奥行方向の深さや残響がクリアになるだけでなく、左右方向の奥行きや天上も広がるような視界の開け方が著しいのだ。2つ目は、音の質感向上倍音表現力の向上だ。とりわけボーカルなど中域楽器の生々しさやプレゼンスがグッと高まるとともに、アコースティック楽器の瑞々しさや色彩表現が高められ有機的な質感を得ている。フラットかつ緻密な描写力に更に磨きがかかるとともに、さらにそこへ音像や空間再現のコントラストの高まりと、質感描写の高品位化が得られたのである。
こちらもラインアウトと同様の傾向で進化が感じ取れた。音の実体感が増強され立体感が高まっている。バランス接続では、S/N感のさらなる向上や、音像ごとのセパレーション向上、低域の明瞭度や密度の増強が得られる。平面磁界形を含むいくつかのハイ・インピーダンス・ヘッドフォンも試聴したが、いずれも十全な駆動と確認できた。もともとヘッドホンアンプの駆動力は充実度が高かったが、そこへDAC部のバージョンアップがそのまま反映されている印象なのだ。
ADコンバーター部及び「RIAAモード」 のチェックとして、MM型カートリッジを接続し、本機の価格と同等の単体フォノイコライザーアンプと比較試聴してみた。特長的なのは、フラットな音色表現と精緻な定位表現だ。そもそものADコンバーター部の性能に加え、デジタル領域での偏差のない正確なイコライジング、そして信号経路短縮の恩恵か、極めて透度の高いナチュラルなサウンドが得られる。全帯域で音のスピードや質感が揃っており、カートリッジやプレーヤーの音をダイレクトに味わえるのだ。この質感は、熱心なアナログファンにとっても新たな音質追求の可能性として推薦できるクオリティだ。加えて、ADコンバーター部も秀逸で、もちろんアウトボードを使ってのマスタリング等にも安心して使用できる性能を備える。
以上のように、本機「ADI-2/4 Pro SE」は、バーサタイルな音質及び機能性を獲得したRMEのフラグシップ・コンバーターであることを確認できた。小型性を活かしてスタジオや収録現場に持ち運んでのモニター用途は勿論、マスタリングやアーカイブ、そして、オーディオファイルのDAC及びフォノイコライザーアンプとして、多用途に、かつ極めて高いパフォーマンスを発揮してくれるプロダクトなのである。
音楽家/録音エンジニア/オーディオ評論家:生形三郎
昭和音楽大学作曲科を首席卒業、東京藝術大学大学院修了。洗足学園音楽大学音楽・音響デザインコース講師。音楽制作活動のほか、音楽家の視座を活かした録音制作、オーディオ評論活動を展開する。
ADI-2/4 Pro SE |
ADI-2 Pro FS R Black Edition |
ADI-2 DAC FS |
AD × 2ch / DA × 4ch フラグシップ・マスター・コンバーター |
2チャンネル・ハイエンド |
PCM 768kHz / DSD 11.2MHz 対応 |
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