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導入事例
世界のGOH HOTODAが選んだFireface UFX

これまで、トップ・アーティストを数多く手がけてきた世界的なエンジニア/プロデューサー、GOH HOTODA氏。マドンナ、ジャネット・ジャクソン、ビョーク、デュラン・デュラン、ジョージ・ベンソン、坂本龍一、宇多田ヒカル…… 氏が手がけたアーティスト名を挙げていけば、枚挙に暇がありません。チャカ・カーンの『The Woman I Am』(1992年)とデイヴィッド・サンボーン『Inside』(1999年)という2枚の作品ではグラミーも受賞し、氏が手がけた作品の総売上枚数は実に7,000万枚にも及びます。長らくニューヨークを拠点にしていたHOTODA氏ですが、“ゆったりした制作環境”を求め、2005年に帰国。間もなくして、自宅の地下に本格的なプライベート・スタジオ“Studio GO and NOKKO”を開設し、以降、そこをホームグラウンドに活動を行っています。

レコーディング/ミックスだけでなく、数年前から並行してマスタリングも手がけるようになったHOTODA氏。“必要に迫られて始めた”と言う氏ですが、これまでNOKKOや下地暁など、多くの作品のマスタリングを手がけてきました。そんな氏のマスタリング・システムの核となっているのが、RMEのFireface UFXです。はたして世界のGOH HOTODAは、Fireface UFXを使用して、どのようなワークフローでマスタリングを行っているのでしょうか。多忙を極める氏に、話を伺ってみました。


Fireface UFX+WaveLabを、Pro Toolsと同じコンピューターで使用

ーGOHさんがマスタリングまで手がけるようになったきっかけは何だったのでしょうか。

2〜3年くらい前から始めたんですけど、最初のきっかけは自分でやるしかなかったから(笑)。あまりバジェットに余裕のない作品のミックスをすることがあって、それだったら人に頼むのではなく、自分でやってみようかなと。ニューヨーク時代はもちろん、日本に帰って来てからも、マスタリングに関してはまったくと言っていいほどやったことがなかったんですけど、Sterling Soundとかでテッド(・ジェンセン)の仕事ぶりとかを見ていて、作業自体には前々から興味はあったんですよ。

でもね、やっぱり簡単なものではないですよ、マスタリングは。始めてからいろいろ仕事を貰うようになったんですけど、いまだから言えますが、最初は上手くいかなかったこともありました。あるアーティストのマスタリングを頼まれたんですが、あまりに曲数が多かったのと、納期が短かったのとで、どうしても納得のいく仕上がりにはなりませんでしたよ(笑)。もちろん、いまはそんなこともなくなりましたけどね。

これまでたくさんの作品のマスタリングを手がけてきましたが、いちばん良い仕上がりになったと思っているのは、NOKKOさんの昨年のクリスマス・アルバム、『The Christmas Songs』。Neve 33609/CやMaag Audio EQ4、Mode Machines FairComp-670といったアナログ機材を多用したんですが、音圧感のあるとても良い仕上がりになりました。自分で言うのも何ですが、あの作品のマスタリングは大成功だったと思っています。

マスタリングには、SteinbergのWaveLabとRMEのFireface UFXを使うというGOH氏。画面はTotal Mix FXとWaveLab

マスタリングには、SteinbergのWaveLabとRMEのFireface UFXを
使うというGOH氏。画面はTotal Mix FXとWaveLab

ーレコーディング/ミックスでは、AvidのPro Tools|HDXシステムとICON D-Controlを使用されているGOHさんですが、マスタリングではどのようなシステムを使用されているのですか?

SteinbergのWaveLabとRMEのFireface UFXのセットを使用しています。WaveLabは、マスタリングを始めるときに導入してみたんですが、とても良くできたソフトウェアですよね。エラー・チェック機能も正確ですし、メーターの表示もとても速いですし。それとマスターのプラグイン・スロットには、どんなものでもインサートできるわけではなく、ディザー処理してしまうようなプラグインは自動的に無効になるなど、インテリジェントなところもいいんですよ。最終的にはWaveLabでDDPを書き出すわけですが、そのデータの精度もまったく問題ありませんしね。最近はDDPの書き出しができるソフトウェアが増えてますが、中にはDDPにすると微妙にズレてしまうものもあるみたいなんですよ。マスタリング・スタジオでも採用されているソフトウェアですし、安心して使うことができますね。


マシンルームに収められたFireface UFX

マシンルームに収められたFireface UFX

ーWaveLabのオーディオ・インターフェースとして、Pro Tools|HDXシステムのHD I/OではなくFireface UFXを使われているということは、コンピューターを使い分けているのでしょうか。

いいえ。同じMac Proを使用しています。コンピューターを分けると、それぞれにプラグインをインストールしなければならないじゃないですか。それにPro Toolsでミックスしたファイルを移すのも面倒だったので、同じコンピューターで作業したかったんですよね。その場合、Pro ToolsのHD I/OをWaveLabでも使ってしまうのが最も手っ取り早い方法なんですが、ぼくはマスタリング時もPro Tools softwareを立ち上げたままにしておきたかったんですよ。Pro Tools softwareとWaveLabを同時に立ち上げて、マスタリング時に問題を感じたファイルは、すぐさまPro Toolsに戻って修正するということをやりたかったんです。当然、Pro Tools softwareを立ち上げている間は、WaveLabでHD I/Oを使うことができないので、WaveLab用のオーディオ・インターフェースが必要だった。そしていろいろと検討を重ねた結果、導入したのがRMEのFireface UFXというわけです。レコーディング/ミックス用のHD I/O、マスタリング用のFireface UFXという感じですよね。

ー別のオーディオ・インターフェースを使用しているとはいえ、Pro Tools softwareとWaveLabを同じコンピューターで同時に使用して、問題は無いのでしょうか?

Fireface UFXの導入時に、いろいろ情報を集めたんですが、中にはPro Tools|HDXシステムと衝突してしまうのか、上手く動作しないオーディオ・インターフェースもあるようですね。でも、Fireface UFXはドライバの設計がしっかりしているのか、まったく問題ありません。必要であれば、Pro Tools softwareとWaveLabを同時に再生することもできますよ。Steinbergの人は、“それは危険な使い方です!”と言っていましたけど(笑)。

ーPro Tools softwareとWaveLabを同時に立ち上げた場合、プラグインは両方で使用できるのですか?

ぼくも最初驚いたんですけど、どちらでも使えるんですよ。Pro Tools softwareとWaveLab、どちらでもWavesとかのプラグインを使うことができる。これもみんな知らないみたいですね(笑)。同時に使えたとしても、これはライセンス的にはどうなんだろうと思い、代理店にも確認してみたんですが、同じコンピューターなので問題無いとのことです。

 


無茶な使い方にも応えてくれるFireface UFXは、すごく信頼できる製品

ーNOKKOさんは今月、約14年ぶりのオリジナル・アルバム『THE NOKKO STORY』と、昨年に引き続きクリスマス・アルバム『もうすぐクリスマス』という2枚の作品を発表されました。どちらもGOHさんがマスタリングを手がけられているとのことですが、そのワークフローについておしえていただけますか。

クリスマス・アルバムの方は最初、海外の有名なマスタリング・エンジニアに頼むつもりだったんです。でも知り合いから、最近では内外ともにマスタリングがネットやストリーミング指向の音作りが主流になっているようで本作品は少なくともカーステレオで聞いて頂きたいという主旨のアルバムなので、だったら2枚とも自分でやってしまおうと思ったんです。

今回は、大きく2種類の手法でマスタリングを行いました。1つは去年のクリスマス・アルバムで上手くいった手法なんですが、最初にWavesのS1 MS MatrixをAudioSuiteで使って、2ミックスのファイルをM/Sにエンコードしてしまうんです。そしてサイドとセンターを別々のEQで処理をする。この手法は、去年のクリスマス・アルバムからチョイスした3曲で使いました。

もう1つのやり方は、Pro Tools上でbrainworx bx_digitalをSontecのEQのような感じで使って、その出力をMode Machines FairComp-670に入れる。でもFairComp-670ではコンプレッションはせず、真空管ならではの倍音だけを加えて、その後は再びPro Toolsに戻し、UAD-2のShadow Hills Mastering Compressorを使ってコンプレッションするんです。UAD-2のShadow Hills Mastering Compressorはとても良く出来ていて、オプティカルとディスクリートの2段構成なんですが、オプティカルをオンにするとミッドがクイっと前に出るんですよ。あとトランスの種類もニッケル、アイアン、スチールの3種類から選ぶことができるんですが、これによって音がまったく違ってくる。いちばん良かったのはスチールで、ボーカルがグッと前に出てくるんです。そうやってShadow Hills Mastering Compressorで音を整えて、最後はbrainworxのbx_XLでM/Sでリミッティングするんです。bx_XLはとてもよく利くプラグインですね。

ー音の処理は、Pro Tools上で、プラグインとアウトボードを使って行われたんですね。

そうですね。それで最後のbx_XLの出力を、Pro Toolsの別のトラックに44.1kHz/32bit浮動小数点で録音するんです。そしてそのファイルをWaveLabに32bit浮動小数点ファイルのままインポートし、曲間とかを調整して並べるというわけです。WaveLabで行う音処理は、ディザーとレベルの微妙な嵩上げくらいですね。やっぱり複数の楽曲を並べて聴くと、レベルの差が気になる部分が出てくるので、それを少し調整する。嵩上げと言っても、いちばん大きなところでも3dBくらい。あとは失われた周波数を補完するくらいで、問題無い場合は何も触らないことも多いですね。そして最後はDDPを書き出して終わり。だからWaveLabでの作業は、そんなに時間はかからないですよ。

ーWaveLabでの作業に入った後、Pro Toolsに戻って修正するということも多いのでしょうか。

気になる楽曲は、Pro Toolsに戻って修正します。WaveLabでプラグインを使っていじったりはしないですね。そんなときもぼくのシステムなら、すぐに修正することができる。WaveLabを終了して、Pro Toolsを起動し直して……という煩わしいことが必要無いんです。WaveLabにインポートしたファイルと、Pro Toolsで修正中のファイルを聴き比べることもできますから。これはとても便利ですよね。でも、マスタリング・スタジオで使われているマスタリング・コンソールも、考えてみればそういう仕様になっているわけですよ。元のソースとマスタリング・ソフトウェアの音を、いつでも聴き比べられるようになっているんです。

ーWaveLab側ではまったくプラグインを使ってないのでしょうか?

WavesのL3-16だけ使っています。レベルの嵩上げやディザーは、L3-16でやっているんですよ。L3-16がいいのは、レベルを嵩上げする必要があるときに、周波数ごとに細かく調整できるところ。すべての帯域を一気に嵩上げしてしまうのではなくてね。

Fireface UFXをオーディオ・インターフェイスとして作業中のPeople Like Youのマニュエル・モーティエ氏

Fireface UFXをオーディオ・インターフェイスとして作業中の
People Like Youのマニュエル・モーティエ氏

ーFireface UFXは、マスタリング時にしか使用しないのでしょうか?

ぼくのスタジオは、けっこう来客が多いので、そういった人たち用のオーディオ・インターフェースとしても重宝しています。先日もPeople Like Youというフランスとアイルランドの混成デュオを手がけたんですが、メンバーのマニュエル(・モーティエ氏)は、フランスの自宅ではApple Logic ProとFireface 800を使っているんですよ。彼がこの前来たときは、Mac Proだけを持って来て、オーディオ・インターフェースはぼくのFireface UFXを使いました。

ぼくはこれまで、RMEの製品はほとんど使ったことがなかったんですが、実際に使ってみて、すごく信頼できる製品という印象ですよね。Pro Tools|HDXシステムと同時に使うなんて無茶な使い方にもしっかり応えてくれていますし、きっと設計が優秀なんでしょうね。ワード・クロックの入力も安定していますし。RMEのWebサイトを見てみると、放送局などの業務の現場で多く使われているようなので、本当にプロ用という感じなんでしょうね。すごく便利に使えているので、今ではもう1台導入しようかなと思っています。外でのレコーディングにも便利そうですしね。

People Like YouのメンバーとGOH HOTODA氏。People Like YouのアルバムはiTunesでも購入可能。

People Like YouのメンバーとGOH HOTODA氏。
People Like YouのアルバムはiTunesでも購入可能

ー今後レコーディングとミックスだけでなく、ここでマスタリングまで一貫して作業されることも増えていきそうですね。

しばらくマスタリングをやってみて思うのは、ミックスとマスタリングを一貫して行うというやり方は、とても間違いが少ないということ。先ほども言ったとおり、マスタリングでおかしいなと思ったら、いつでもミックスに戻れるわけですからね。だから来年は、より本格的にマスタリングを行うために、スタジオを大きく改装しようと考えているんです。コンソールをコンパクトにして、スピーカーに対した状態で、アウトボードを触れるようなレイアウトにして。もちろん新しいセットアップでも、マスタリングの核となるのは、Fireface UFXとWaveLabのコンビネーションですよ。


GOH HOTODA プロフィール

GOH HOTODA

1960年生まれ。東京都出身。シカゴでキャリアをスタートし、1990年マドンナの『VOGUE』のエンジニアリングを務め、今ではポピュラーとなったハウス・ミュージックの基盤を作った。 その後ジャネット・ジャクソン、ホイットニー・ヒューストン、坂本龍一、宇多田ヒカルなどの一流アーティストの作品を手がけ、トータル5800万枚以上の作品を世に送り出す。2度のグラミー賞受賞作品など世界的にも高い評価を受けている。
仕事を通じ10年来の付き合いのあった『REBECCA』のNOKKOと2001年に結婚。『NOKKOandGO』を結成。
現在は日本国内にICON D-Control システムをベースとするスタジオを所有しており、米国とフランス、日本を中心に活動中。
GOH HOTODA
http://hotoda.com/jp/

NOKKO
http://nokko.jp/

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