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Death and the Maiden / Dimensions - UNAMASレーベル「軽井沢大賀ホール レコーディング プロジェクト」─「ART」「Technology」「Engineering」の融合

Death and the Maiden / Dimensions - UNAMASレーベル「軽井沢大賀ホール レコーディング プロジェクト」─「ART」「Technology」「Engineering」が高次元で融合

アルバム・ジャケット

ハイレゾ・サラウンド音源の黎明期よりハイクォリティな作品をリリースし、シーンを牽引しつづけてきたUNAMASレーベルから、2014年の「The Four Seasons(UNAHQ2005)」、2015年の「ART of FUGUE(UNAHQ2007)」に続く UNAMAS レーベル「クラシック・シリーズ」の第3作として、シューベルト第14作目にして晩年の名曲と言われる「死と乙女 ─ Franz Schubert No.14 in D minor:Death and the Maiden(UNAHQ2009)」が4月22日に、そして、大賀ホール レコーディング プロジェクトでは初のピアノ・ソロによるインプロヴィゼーション作品となる「Dimensions(UNAHQ2010)」が6月17日に、続けてリリースされました。

いずれのアルバムも192KHz/24bit 2ch、および 5.1ch Surround にてリリース。本シリーズの特徴でもある従来のクラシックの常識を打ち破る作品コンセプトは今回も健在で、Death and the Maidenでは、鬼気迫る低域をもたらすために通常はビオラで演奏される箇所をチェロで演奏する「ダブル・チェロ」編成で、Dimensionsでは、クラシックの原曲をモチーフにしてユキ・アリマサ氏が自由にインプロヴィゼーションしたクラシックとジャズの高次元な融合が実現しています。そして、そのコンセプトと演奏家のエネルギーが昇華した迫真の演奏を色づけなく正確無比にキャプチャーするために、今回もレコーディングの根幹となるMADIシステムの構築に際しては、RMEのMADIマイクプリアンプやMADIオーディオ・インターフェイスが活躍しています。以前にもまして「ART」「Technology」「Engineering」の融合が図られた、まさに Hi-Res 音楽と呼ぶにふさわしいアルバムが誕生しました。さらに今回は、商用電源からのノイズをシャットアウトするために、レコーディングに関わる機材をすべてバッテリー駆動で収録。機材同士を接続するケーブルなどにも徹底的なノイズ対策を施す等、ホール録音の新しいワークフローを示唆する象徴的なレコーディング・プロジェクトとなりました。

Death and the Maiden 収録(2015年12月 軽井沢大賀ホール)

レコーディング・データ:

場所:軽井沢大賀ホール
日時:2015年12月16日、17日
仕様:24bit/192kHz 12ch

使用マイクロフォン:

メイン・マイク
 Neumann KM-133D x 5

サイドL&R
 Schoeps MK4 x 2

トップレイヤー・サラウンド
 サラウンド前方:Neumann KM-131D x 2
 サラウンド後方:Sanken CO-100K x 2

LFE
 AUDIX SXC-25 x 1

各パートの楽器に向けられた五本のメイン・マイクには無指向性(Omni)のデジタルマイク、Neumann KM-133Dを採用。圧倒的な解像度とS/N比で、演奏の微細なニュアンスまでキャプチャーしています。サラウンドマイクは、3Dサラウンドを想定して、上層(トップレイヤー)にも4本のマイクを配置。これら4本のマイクは敢えてステージから客席の方に向けて配置されており、ステージ上で発せられた音源が客席の方へ飛んでいくのを後ろからキャプチャーすることを意図して配置されました。

マイク・プリアンプ:

マイク・プリアンプには、メインとなるデジタル・マイクのプリアンプとしてDMC-842 Mが、サラウンド用の各アナログ・マイクのプリアンプとしてMicstasy Mが使用されました。コントロール・ルームとのトークバック・システムにはDMC-842Mのアナログ出力を使用して、コントロール・ルームのMADIface XTへ接続されたトークバック・マイクの音声をMADIでステージへ伝送しました。

オーディオ・インターフェイス:

デジタル(DMC-842 M)とアナログ(Micstasy M)計2台のマイクプリをMADI回線に載せ、MADI Routerでメイン・レコーダーである沢口氏のMerging Pyramix Native+MADIface XTと、バックアップとして入交氏のMAGIX Sequoia+MADIface XTに分岐。沢口氏のPyramixはNative版を使うことで、RME MADIface XTとノートPCでの録音を実施。デスクトップPCを必要としていた前回の録音よりもさらに機材の軽量化が実現しました。ステージ上とコントロールルームとのコミュニケーションは、MADIface XTに接続されたトークバックマイクとステージ上の配置されたDMC-842Mにより実現しています。

バッテリー:

今回の録音では、商用電源に起因するノイズを徹底的に排除するために、EliiyPower社のパワーイレプラス(PPS-20)2.5KVAバッテリ電源を2台を導入。1台はステージにおいて、プリアンプなどの機材用電源として、もう1台はモニタールームの録音機材を全てカバーしました。元来は住宅での太陽光発電の蓄電、または深夜電力を充電することによるピークシフトに利用するための製品ですが、バッテリーからのクリーンな電源をインバーターでAC化することによる効果は絶大。すべての機材を8時間超稼働させるなど、ホール録音での利用において大きな可能性を示しました。

前作に続き、今回のレコーディングでもハイレゾ・多チャンネル録音を実現するためにRMEのMADIシステムが採用されました。マイクプリアンプとして、フラッグシップ・モデルとなるMicstasy Mがアナログ・マイク用に、DMC-842Mがデジタル・マイク用(トークバックや演奏者のモニタ用としても活用)としてステージ上に配置され、そこから光ファイバーのケーブルにより、遠隔にあるコントロール・ルームに設置されたMADI RouterにMADI伝送されます。 特に、メインで使用されたデジタルマイクは、マイクのカプセル内でAD変換されますので、アナログ伝送による信号の劣化を完全に防ぐことが可能です。基本的にデイジーチェーンで接続されるMADIですが、MADI Routerを使用すれば自由自在に分岐、合流させることが可能です。

 

Dimensions 収録(2016年2月 軽井沢大賀ホール)

レコーディング・データ:

場所:軽井沢大賀ホール
日時:2016年2月11日
仕様:24bit/192kHz 9ch

使用マイクロフォン:

メイン・マイク
 Neumann KM-133D x 5

トップレイヤー・サラウンド
 サラウンド前方:Gefell M300 x 2
 サラウンド後方:Sanken CO-100K x 2

ピアノに対して3本のフロント(L/C/R)と2本のリア(Ls/Rs)のメインマイクとして、無指向性(Omni)のデジタルマイク、Neumann KM-133Dを配置。ただし、フロントの3本のマイクは、ピアノに向かって左から(L/R/C)の順に並べられています。沢口氏によると、どっしりとした低音がセンターに欲しいので敢えてセンターマイクで低音弦を狙っているとのこと。上層(トップレイヤー)の4本のマイクは、Death and the Maidenに引き続き、ステージから客席の方に向けて配置されており、客席上方に漂う反響音を捉えています。

振動対策:

大賀ホールはその構造上ステージに伝わる振動が増幅される傾向があり、ピアノのような床に置く楽器の場合、不要な振動が雑味となって音を濁らせることがあります。それを防ぐために、ハイエンド・オーディオでもお馴染みのAcoustic Reviveが全面協力。ピアノの足の下にヒッコリー製のオーディオ・ボードを置いて不要な振動を吸収、そして特に低音成分をピアノの下にこもらないように拡散すると同時に音を同一方向に飛ばすため、ルーム・チューニングに使用されるAcoustic Revive製の拡散板RWL-3をピアノの下に置き、客席側に角度をつけて設置されています。さらには、すべてのマイクスタンドの足にも水晶の板を敷いて共振がマイクに伝わらないように配慮するなど、アコースティック面での徹底した振動対策が施され、実際に実施前と後とで歴然とした違いが生じました。

また、UNAMASのレコーディング・プロジェクトでは、デジタル・マイクも含めてマイク・ケーブルはすべてAcoustic Revive製が使われています。沢口氏は、例えデジタルであっても、Acoustic Revive製のケーブルはS/Nやダイナミックレンジにおいて、圧倒的な優位性があると語ります。

 

ザ・ノイズ・バスターズ:

今回のレコーディングでは、Acoustic Reviveの石黒氏とJIONの宮下氏がタッグを組み、電源からケーブル、それぞれの機器の端子に至るまで、徹底的なEMCノイズ(電磁波ノイズ)対策が施されました。録音機材そのものよりも遥かに物量の多い機材を持ち込んだ宮下氏は、「ノイズ対策にゴールはない。いくらやってもまだ改善したくなる箇所が必ず出てくる」と語ります。徹底したノイズ対策とデジタル・マイクの持つ解像度の高さにより、雑味のない純度の高い音と減衰していくピアノが完全に静寂となる最後の最後までを楽しめる、ハイレゾで聴いてこそ真価が分かる録音作品に仕上がりました。

ピアノ・ソロによるインプロヴィゼーション演奏で、テイクをつなげるようなレコーディング・スタイルではないため、バックアップ・レコーダーもなくMADIが1系統のみの非常にシンプルな機材構成となりました。前回同様、メインとなるデジタル・マイクにDMC-842Mが、アナログ・マイク用にMicstasy Mがそれぞれ使用され、MADIでコントロール・ルームにあるMADIface XTまで引き回されました。電源や各機器のコネクタには宮下氏の徹底したノイズ対策が施され、石黒氏のアコースティック面での振動ノイズ対策とともに、ユキ・アリマサの素晴らしい演奏が最高のコンディションで録音されました。

 

e-onkyo music / HQM Store / mora にて好評配信中

Death and the maiden

Death and the Maiden

シューベルトの弦楽四重奏、第14作目となる Death and Maiden 楽曲のドラマ性とダイナミックスを活かすべく、ビオラパートをチェロに変更しVc2台として Vl2 Vl2 Vc1 Vc2 Cb という編成でアレンジ。5人とは思えないリッチな低域重心の上でバイオリンが旋律を奏でるサウンドデザインとなっています。

アルバム情報:
Franz Schubert No-14 in D minor Death and the Maiden
UNAMAS Strings Quintet(2016年4月22日発売)
e-onkyo | HQM Store | mora

2ch Stereo:3,000円 / 5ch Surround:3,500円 / 9ch HPL:3,000円

Dimensions

Dimensions

長きに渡りアメリカの名門「バークリー音楽大学」のピアノ科助教授として教鞭をとってきた経歴を持つピアニスト、ユキ・アリマサを迎え、クラシックの名旋律をモチーフにジャズ・インプロヴィゼーションを繰り広げる、UNAMAS「軽井沢大賀ホール」シリーズ初のピアノソロ作品。

アルバム情報:
Dimensions
Yuki Arimasa(2016年6月17日発売)
e-onkyo | HQM Store | mora

2ch Stereo:3,000円 / 5ch Surround:3,500円 / 9ch HPL:3,000円

 

OTTAVA recordsよりCDでも発売中

Death and the maiden

Death and the Maiden

鮮烈かつ豊潤なサウンドはCDになっても健在。さらに、本作本来の9chイマーシブ・サラウンドをヘッドフォンやイヤフォンで再現できるHPL9の音源を、ボーナストラックとしてCD初収録。サラウンド音源の新しい楽しみ方を提案しています。

CD情報:
シューベルト;弦楽四重奏曲第14番ニ短調(死と乙女)D.810 (弦楽五重奏曲編曲版)
UNAMAS Strings Quintet(2016年7月1日発売)

2,700円(税込)CDの購入

UNAMAS-Jレーベル

 

プロモーション・ビデオをYouTubeで配信

映像もハイレゾで ─ 4Kカメラにより撮影された「Death and the Maiden」のプロモーション・ビデオとインタビューがYouTubeで配信されています。YouTubeの4K再生に対応していますので、動画再生後、プレイヤー下部の「設定-画質」より「2160p 4k」を選ぶことにより現行フルHD(フルハイビジョン)の4倍の画素数となる4K画質でご覧になれます。 

 

プロモーション・ビデオ
プロモーション・ビデオ
アーティスト・インタビュー
アーティスト・インタビュー

プロフィール

ミック沢口ミック沢口 ─ プロデューサー、ミックス、マスタリング

1971年千葉工業大学 電子工学科卒、同年 NHK入局。ドラマミキサーとして「芸術祭大賞」「放送文化基金賞」「IBC ノンブルドール賞」「バチカン希望賞」など受賞作を担当。1985年以降はサラウンド制作に取り組み海外からは「サラウンド将軍」と敬愛されている。2007より高品質音楽制作のためのレーベル 「UNAMASレーベル」を立ち上げ、さらにサラウンド音楽ソフトを広めるべく「UNAMAS-HUG/J」を2011年にスタートし24bit/96kHz、24bit/192kHzでの高品質音楽配信による制作およびCD制作サービスを行う。2013年の第20回日本プロ音楽録音賞で初部門設置となったノンパッケージ部門2CHで深町純「黎明」(UNAHQ-2003)が優秀賞を受賞、2015年の第22回日本プロ音楽録音賞ハイレゾリューション部門マルチchサラウンドで「The Art of Fugue(フーガの技法)」が優秀賞を受賞するなど、ハイレゾ時代のソフト制作が如何にあるべきかを体現し、シーンを牽引している。

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