ハーフラックの筐体ながらMADIを3系統搭載したMADIface XTは、通常は録音用のオーディオ・インターフェイスとして使用されることが多いのですが、北日本放送ではラジオマスターに入ってくるMADI信号の監視用として使われており、その高い視認性でスムーズなレベル監視業務を提供しています。
MADIface XT本体の液晶でもすべてのレベルを確認することができますが、下の写真ように、MADIface XTをPCに接続することにより、入力されてくるMADI信号をTotalMixウィンドウ上にて一括で確認することが可能です。
4系統のBNC、4系統のオプティカル、4系統のRJ45、それぞれの入出力端子を自由に使い、ポートtoポートのルーティングだけではなく、チャンネル毎のルーティングまで自由に行うことができる1UサイズのMADI Routerは、今回のような環境にはジャストサイズ。高い柔軟性とコンパクトなボディー、そして導入しやすい価格が魅力です。今回MADI Routerが導入された北日本放送のラジオ第4スタジオでは、マスター、A/DコンバーターなどからのMADI信号がMADI Routerへと集められ、音声卓(LAWO)へと送られています。
MADI Routerが収められたラックの上に置かれたモニターには、DIGICheckが起動していました。(下)
ラジオ第4スタジオのLAWOには2系統のMADI_I/Fが実装されており、1系統はHDSPe MADI FXを介してDAWソフトウェアへ、そして、もう一系統はMADI Routerへと接続されています。DIGICheckは、音声卓デスク下のPCにインストールされているHDSPe MADI FX上から起動しており、DAWソフトウェアへの信号レベルや位相を監視しています。
北陸新幹線開通の生中継のために導入したというFerrofish A16 MK-IIはラックに収められ、フロントパネルから全ての入出力に簡単にアクセスできる仕様に。A16ラックの上に置かれているMADIオプティカルケーブルのドラムは、Neutrik社のOpticalCON。ミリタリーレベルの堅牢性を誇るこのケーブルはLCタイプなので、ラック裏にはLCで接続できるレセプタクルが設置されており、現場ではケーブルを1本挿すだけで準備が整います。
Ferrofish A16 MK-IIの隣に置かれたラックには、2007年に取材でお伺いした際にすでに導入されていたRMEのマイクプリが収められていました。
10年の時を経ても未だに故障もなく現役で活躍しているこれらのマイクプリは、RMEの安定性と堅牢性を力強く物語っています。
上段のラックは初代のOctaMic。(現行モデルはOctaMic II)
2台のOctaMicは、その直下のADI-648にADAT接続され、ADI-648にてMADIに変換されています。
下段のラックは、フラッグシップモデルのマイクプリMicstasy M。共にラック内でSC-LC変換されています。
これからのマイクプリは主に中継などで使用することが多いため、当然中継車にもADI-648が搭載されています。
多くの設定を要せず、オプティカルケーブル1本で最大2000mまで音質の劣化なく簡単に引き回せるMADIは、中継の現場では特に採用が多いのが特徴です。
※2007年度の導入事例記事はこちらからご覧いただけます。
技術局技術部次長 荒井康寿様のコメント
2003年頃からRME製品は使用しており、安定した動作とドライバ等のサポート面を考慮し、弊社のスタジオ及び、中継収録用のオーディオ・インターフェイスはRMEで統一しております。中継現場ではRMEのMADIインターフェイスを使用することで低コストながら迅速なセッティング性と安定した伝送性能を確保しております。 最近はこれら機器を組み合わせてライブやラジオドラマをマルチ収録しておりますが、汎用PCと組み合わせてもノントラブルです。 ハイレゾ収録も非常に簡単ですので、大変満足しています。