FINAL FANTASY XIII-2 : SQUARE ENIX - Synthax Japan Inc. [シンタックスジャパン]
RME Users
導入事例
SQUARE ENIX - Final Fantasy XIII-2

株式会社スクウェア・エニックス 鈴木光人氏 インタビュー

「FINAL FANTASY XIII-2におけるRMEを使用したサウンドデザイン」

世界累計出荷本数620万本を突破したPlayStation®3ソフト「FINAL FANTASY XIII(ファイナルファンタジー・サーティーン)」の続編、「FINAL FANTASY XIII-2(ファイナルファンタジー・サーティーンツー)」がリリースされた。

「ゲーム音楽として面白い仕上がりとなった」と作品への自信を語るのは、株式会社スクウェア・エニックス サウンドグループの鈴木光人(すずきみつと)氏。「弊社の現場ではRMEユーザーが多いですよ」と語る氏に話を訊いた。

『邪魔にならない音作りはいつも考えてやっています』

— 新作のFINAL FANTASY XIII-2について教えてください

前作「FINAL FANTASY XIII」が2年前に出て、その続編になります。前作からストーリーも続いていますし、ゲーム中は色々な部分がブラッシュアップされてやり込み要素も増えています。

 

— FINAL FANTASY XIII-2は音楽面での新たな試みはありますか?

FINAL FANTASYの音楽は昔からの流れでオーケストラのイメージがありますが、前作から音楽のイメージをガラっと変えたいと言うことで、コンポーザーが1人から3人に増えました。前作を担当した浜渦さんはオーケストレーションが得意なので、オーケストラ系の楽曲を担当しています。僕はエレクトリックな音楽を担当していて、水田はオケ物と打ち込みのハイブリッドな感じで役割分担は何となく自然と決まりましたね。

新しい試みとしては、フィールドでは常に2曲を表と裏で再生していて、シーンによってそれがクロスフェードで入れ替わります。テンポも尺も同じに作ってあって、DJのクロスフェードのようなイメージです。 例えば、普通にフィールドを歩いている時は静かな曲が流れていて、敵が現れたら他の曲がクロスフェードしてくる。そういった演出を新作では行っています。普通にBGMが鳴っているだけではなくて、ゲームならではの音を使用した演出の一つと言えるでしょう。

 

— ということは、ユーザーがゲームを進める展開によっては、使われない(聴かれない)曲もあるのですか?

ありますね。大体3~4分位でループしている曲が多いので、立ち止まったりしないと聴けないシーンも多々あります。フルで聴きたい場合はサントラで。というのは冗談ですけど、最後まで聴かないうちにクリアって事もあると思いますよ。

Mitsuto Suzuki
鈴木光人氏

— コンポーザーは3人編成との事ですが、鈴木さんは何曲くらい手掛けたのですか?

20曲くらいですね。ゲーム音楽は演出効果が必要だったり、例えばテーマ曲は「つかみ」の部分が必要だったりします。でも、その他の部分では「引く」ことも大事で、邪魔にならない音作りはいつも考えてやっています。例えば今回は歌ものが割と多いのですが、通常フィールドでずっと歌が流れているとうるさく感じるんですね。なので、一番は歌、二番はインストという風に楽曲の構成を工夫してメリハリをつけています。ポップス構成でもなく、ゲームならではの構成と言えます。

 

— 作曲するときはどのようにイメージを膨らませるのですか?

ムービー等でゲームが実際に動いている場面を見ながら作曲します。基本的には普通に音楽を作るのとやり方は一緒ですが、ゲーム内で音楽が流れた際にどう反応させるか、どうやってインタラクティブな要素にするのか、といったことを考える比重が大きいです。また、容量の都合やストーリー上の流れで、開発初期と末期で尺が変更されるという事もよくありますね。その都度トータルリコールする感じです。

 

— 鈴木さんがゲーム音楽に関わる様になったきっかけを教えて下さい

私はファミコン世代ですけど、最初の頃にゲーム音楽を聴いた体験が強烈で、そのまま自然な流れで普通の音楽を聴くのと一緒にゲーム音楽も聴いていました。そのうち自分でも曲を作るようになり、ゲーム音楽を作りたいと言う気持ちがあって、かれこれ今に至っています。昔のピコピコしている音楽は子守唄みたいな感じでしたね。

『RMEは安定性が高いという評判が現場で広まっている』

Mitsuto Suzuki
メインDAWはSteinberg Cubase

— ゲーム制作の現場はRMEユーザーが多いとの事ですが?

理由として1つ考えられるのは、音楽制作にSteinberg Cubaseを使っている人が多いことと、CubaseのユーザーにRMEを使っている人が多いことですね。スクウェア・エニックスでもCubaseユーザーは多いので、自然とRMEユーザーが増えた感じです。あと、RMEは安定性が高いという評判が現場で広まっているのもあると思います。

『ミックスからマスタリングまで、RMEが制作時の基準になっています』

ゲーム制作時にRME製品はどのように使われているのですか?

「FINAL FANTASY XIII-2」の音楽チームはほぼ全員RMEを使って制作しています。ファイルの最終アウトプットで使用するのはもちろん、3人編成のチームでやっているので、どの環境で聴いてもアウトプットの音質が一緒だと言うことが大事になってきます。我々コンポーザーの他にまとめ役が一人いて、そこへデータが全て集まるのですが、その部屋に皆で集まって音楽を聴く時もRMEがリファレンスなので非常にやり易いです。

あと、新作ではゲームに音楽を実装する際に専門の外部エンジニアにマスタリングを依頼したのですが、マスタリング時もRME製品を使用しているので、「ここの音を下げてください」等の要望がダイレクトに伝わり、すごくやりやすかったですね。ミックスからマスタリングまで、RMEが制作時の基準となっています。

Desk
THXpm3認証も受けているスクウェア・エニックスのスタジオ
Devices
アナログ&デジタル機器をFireface 800で入出力管理

制作時の環境は?

僕と水田は社内の個人ブースで作業しています。制作の機器ですが、以前はMacを使っていましたが、ここ2年くらいはWindowsベースです。シンセサイザーは使い慣れているハードウェアを使っていて、RME Fireface 800からアナログをパラで出して、それをミキサー卓に入れて、EQを掛けたものをCubaseに戻して、という風に、うまい具合にデジタル/アナログをハイブリッドで使っています。TotalMixは入出力の管理で使用しています。自宅ではRME Multifaceを使ってるので、ほぼ会社と同じ環境にしてます。まぁあまり自宅で作業はしませんけど。笑。

Fireface 800
RME Fireface 800

— Windowsベースに変更された理由は?

やっぱり最近の音源はメモリを食いますからね。大容量のメモリが無いとどうにもならないところがあって。早い段階で大容量のメモリを増やすのにWindowsの方が楽だったんですよ。具体的に言うとWindowsの方がコストが安かった。メモリは現状12G積んでるのでストレスは特にありませんが、次の段階でSSDを入れるかどうかを検討という感じですね。

現在、OSはWindows 7を、 Cubaseは5.5を使用していますが、一旦プロジェクトが始まったら、終わるまではバージョンの変更を避けたいので、2年くらい同じシステムで作業する事もあります。

 

— ミックスとマスタリングの環境は?

ミックスとマスタリングは外部エンジニアの松田さんにお願いをしたんですが、松田さんはゲーム音楽にも造詣が深いので話がしやすかったです。今回は音圧と空間の調整を主にお願いしたのですが、いろんな再生環境で音を確認していただいて非常に助かりましたね。家庭によってテレビのスピーカーの音が違うので、差がでないように色々なアウトプットで調整して、一番いい「鳴り」を作るそうです。

他にも、極端に低音が出ている場合などは低音をカットして、テレビ側でコンプレッサーが掛かってしまうのを防いだりするという話も聞きました。マスタリング後のファイルに関しては、こちらで実装し、確認→調整という流れで進めていたのですが、おかげで僕らは作曲に集中できて、凄く良い連携だったと思います。

『RMEは正確な音質で曲が作りやすかった』

RME製品を長年愛用している理由は?

10年前に自宅用にRME Multifaceを購入して使用した際、音の劣化が無かったのが一番大きな理由ですね。あと、レイテンシーもとても低い。音質は好みもありますが、RMEは正確な音質で曲が作りやすかったです。他にも操作性がいいですし、抜群の安定性があるのも使い続けている理由ですね。

 

— RMEの製品はファームアップデートにより、常に最新のOSに対応できるというメリットがありますが、この10年間で何かトラブルで困ったことはありましたか?

全然問題ないですね。MacBook Proに買い替えた時にHDSPe ExpressCardが必要になり、その時にHDSPe ExpressCardを買ったくらいです。今後もRMEに望む事としては、MIDI端子を残してほしいという事。中(コンピュータ内のソフトシンセ)で作業する人も多いと思いますが、僕はRoland TR-606とかTR-909とのアナログ・ハードウェアをよく使うので、MIDI端子が付いているのが非常に助かります。厳密にはMIDIからDYNに変換したりするのですが、インターフェイス等の機材は極力少ない方がフットワークも軽くていいですしね。笑

鈴木光人田中フミヤ主催のTOREMAや細野晴臣主催のDaisy worldよりキャリアをスタート。1997年、OVERROCKETを結成し活動を始める。その一方、1998年にはエレクトリック・サティの名で『gymnopedie '99』をリリース。現在はSQUARE ENIX所属。iTunesよりソロ作品『IN MY OWN BACKYARD』(2007)、『NEUROVISION』(2009) を発表。2011年3月、サンフランシスコで行われた世界最大のゲーム開発者向けカンファレンスGDCに登壇、即興ライブを披露した。

OfficialBlog :www.square-enix.co.jp/music/sem/page/cm_sp/

FINAL FANTASY XIII-2 リリース情報

「ファイナルファンタジー」シリーズの本編最新作「FINAL FANTASY XIII-2(ファイナルファンタジー サーティーンツー)」(好評発売中/対応機種:プレイステーション 3、Xbox 360)

「FINAL FANTASY XIII-2」は、世界累計出荷本数620万本を突破している前作「FINAL FANTASY XIII」から連なる新たなストーリーを描いた作品です。探索要素を盛り込んだフィールドやダンジョン、モンスターを仲間にして戦う新たなバトルシステムや周回プレイも出来る豊富なやり込み要素、ミニゲームなど、前作を超える作品として進化を遂げました。今後も新たな情報を順次公開してまいりますので、続報をお待ち下さい。
「ファイナルファンタジー」シリーズは、1987年の第1作発売以来、最先端の映像技術と独特の世界観、豊かなストーリー性で、世界中のお客様から高い評価を得ている、日本発のロールプレイングゲームです。欧米市場にも積極的に展開し、全世界で累計1億本以上の出荷を達成しています。(※2011年6月末現在)

「FINAL FANTASY XIII-2」は、世界累計出荷本数620万本を突破している前作「FINAL FANTASY XIII」から連なる新たなストーリーを描いた作品です。探索要素を盛り込んだフィールドやダンジョン、モンスターを仲間にして戦う新たなバトルシステムや周回プレイも出来る豊富なやり込み要素、ミニゲームなど、前作を超える作品として進化を遂げました。

「ファイナルファンタジー」シリーズは、1987年の第1作発売以来、最先端の映像技術と独特の世界観、豊かなストーリー性で、世界中から高い評価を得ている、日本発のロールプレイングゲームです。欧米市場にも積極的に展開し、全世界で累計1億本以上の出荷を達成しています。(※2011年6月末現在)

FINAL FANTASY XIII-2 オフィシャルサイトwww.square-enix.co.jp/fabula/ff13-2/

FINAL FANTASY XIII-2 オリジナル・サウンドトラック リリース情報

同作のゲーム内BGMを収録したオリジナル・サウンドトラック。

ミュージックコンポーザー陣は前作(FINAL FANTASY XIII)から引き続き担当となる“浜渦正志”、人気MMORPG「FINAL FANTASY XI」の楽曲を担当する“水田直志”、さらに「The 3rd Birthday」などを手掛ける“鈴木光人”の3名が担当。

初回生産限定盤、通常盤と2パッケージでの展開で好評発売中。

FINAL FANTASY XIII-2 オリジナル・サウンドトラック オフィシャルサイトwww.square-enix.co.jp/music/sem/page/fabula/ff13-2/

SQUARE ENIX

株式会社スクウェア・エニックスは、エンタテインメント分野において、創造的かつ革新的なコンテンツ/サービスのヒット作品を生み続けるリーディングカンパニーです。株式会社スクウェア・エニックス・グループの自社IPの代表作には「ドラゴンクエスト」シリーズ(パッケージゲーム累計出荷本数5,800万本以上)、「ファイナルファンタジー」シリーズ(同1億本以上)、「トゥームレイダー」シリーズ(同3,500万本以上)、「スペースインベーダー」シリーズなどがあります。

ウェブサイト:www.square-enix.com/jp/

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