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導入事例
津波古 尚「MONGOL800」— MADIfaceXTとMADIface USBを使ったマルチトラック収録

沖縄出身のロック・バンド、MONGOL800。『GOOD MORNING OKINAWA TOUR 2013-2014』の千秋楽であるNHKホールでのライブ、そして、その後に続く大阪と福岡での追加アリーナ・ライブでの演奏をマルチトラックで収録しDVDで発売するというプロジェクトが発足。今回、その現場にRMEのMADIインターフェイスが収録システムとして選ばれたということで、早速同ツアーの音響を担当するプロサウンドスタックの津波古氏にお話を伺ってきました。現場に負担なく導入できるRME MADIの収録システムの実力、そして、収録以外でのMADIインターフェイスの使用方法に関しても興味深いお話を聞くことができました。実際の現場からの生の声を皆さまにご紹介します。


ー プロサウンドスタックでは、通常どのような業務を行っているのか簡単にお聞かせください。

同時通訳から大規模なライブコンサートまで、幅広い業務を行っています。 沖縄に拠点を置く会社なので、沖縄で行われるライブ・コンサートは大体関わっています。嘉手納基地での仕事もよくありますね。

ー 津波古さんとMONGOL800の出会いに関してお聞かせください。

MONGOL800は沖縄のアーティストなので、付き合いは古いですね。 5〜6年程前から一緒に仕事をしているのですが、具体的には、エンジニアの佐藤恭一さんがバンドのメイン・エンジニアを務め初めてから、私も一緒に仕事をするようになりました。

PA卓横、Pro Tools HDシステムのラックの上に設置されたMADIface XTとMacBook Pro。たったこれだけのスペースで最大196chのレコーディングが可能に
PA卓横に設置されたMADIface XTとMacBook Pro

ー 今回の現場で使用している機材環境をお聞かせください

メイン卓は、AVID VENUE Profile。モニター卓は、MIDAS PRO 2です。 収録の機材は、今回、トータルで3システム用意しました。まずメイン卓であるVENUE Profileには、今回2つの収録機材が接続されていています。ひとつが、MADIで接続されているRME MADIface XTで、もうひとつが、Mac G5で動作するPro ToolsHDシステムです。Pro Tools HDシステムは、VENUE ProfileにDigiLinkでつながっています。RME MADIface XTは、VENUE ProfileのMADI Option Cardから、MADIで接続されています。 両システムとも、ケーブルを1本接続するだけで、セットアップに時間はかかりません。
さらに、RME MADIface XTは、ノートブックPCで使っていますので、持ち運びも簡単ですし、広いスペースも必要ありません。今回は、Pro Tools HDシステムのラックの上にMADIface XTとノートPCを置いて使いました。MADIface XTは、MacBook ProにUSB2.0で接続されており、DAWソフトはStudioOneを使っています。

全体の配線図
全体の配線図

また、バックアップとして、モニター卓に使っているMIDAS PRO 2にもRME MADIface USBを接続しています。こちらも、PCはMacBook ProでDAWソフトはStudioOneです。
ちなみに、MIDAS PRO 2は卓本体にはMADIの出力がありませんので、一旦AES50で出力してKLARK TEKNIKのDN9650ネットワーク・ブリッジにてAES50からMADIにシグナル変換を行っています。あと、同時に96kHzから48kHzへのサンプルレート変換も行っています。MIDAS PRO 2とKLARK TEKNIK DN9650の間はAES50で同期していて、DN9650とMADIface USBの間はMADIで同期を取っています。

ステージ上手のモニター卓近くに設置されたMADIface USBでの収録システム
ステージ上手のモニター卓近くに設置されたMADIface USBでの収録システム
RMEユーザーなら誰でも無償で利用可能なGlobal Record
RMEユーザーなら誰でも無償で利用可能なGlobal Record

今回トータルで40弱のチャンネル数があったのですが、それが理由でRMEのシステムの方は両方ともDAWソフトにStudio Oneを使っています。Pro Toolsソフトウェアは、CoreAudio/ASIO経由で使用する際にサンプル・レートに関わらず32チャンネルという制限を設けているため、そうした制限がなくさらに動作が軽くて音質の良いStudio Oneを採用しました。

実を言うと、本当はRMEの付属ユーティリティのGlobal Recordを使いたかったのですが、今回はMacだったので(Windowsでしか動作しない)Global Recordは使用しませんでした。現場では、録音に対してできるだけ手間をかけたくないので、本当はGlobal Recordのような操作が簡単シンプルで、しかも動作が安定した録音ソフトがいいんですけどね。

ちなみに、録音ドライブはすべて外付けです。RMEの方はUSB2.0接続のHDDを1台ずつ使っています。Pro Tools HDの方は、ラックマウントされた4台のHDDに、ディスク割当を行いトラックを分けて録っています。

MONGOL800 のライブ風景
MONGOL800 のライブ風景

ー ライブの収録はよく行っているのですか?

そうですね。ここ一年くらいで相当増えていますね。きっと、今後も増えてゆくと思います。
いままではライブ収録というと、別途収録チームが現場に入ってくるのですが、その場合PA機材とは別に収録用の機材を沢山持ち込むわけですよね。現場によってはスペースに制限のあるところも少なくないですし、セットアップにも余計な時間がかかってしまいます。そしてなにより、収録が入った場合マイクからのシグナルを3系統に頭分けしなくてはいけなくなります。もちろん収録だけではなく、中継等が入って来た場合もそうなんですが、通常PA卓とモニター卓への2パラで済むところが3パラになったりすると、マイクのシグナルはアナログなので分配すると必然的にインピーダンスが落ちて、PAに送られる音質も大きく変わってしまいます。 その点、MADIはデジタルですので、シグナルの頭分けを行っても音質が変化することは全くないため、ライブ収録や中継には向いていると思います。今回は特にMADIでの頭分けは行っていませんが、ケーブルを1本PA卓に接続するだけで、簡単にマルチトラック収録ができるMADIはやっぱり素晴らしいですね。特にRMEみたいにコンパクトなインターフェイスとノートPCで収録が可能となると、きっと今後はもっと録音する機会がふえてくると思います。

ー ライブ収録の現場にて、収録機材に求めることはなんですか?

止まらないこと。安定性ですね。Pro Toolsであってもやはり止まる時は止まります。スタンダードなので、それでも使っていますが…(笑)
あとは、もちろん音質。

ー 今回、RMEのMADIface USB/MADIface XTを、ライブ収録システムとして導入しようと思ったきっかけは?

一番の理由は簡単に録れること。今回のツアーではメイン卓にVENUEを使っているため、卓から直接MADIで出せるんです。あとは、ケーブルを一本RMEのMADIインターフェイスにつなげるだけ。もちろん、Pro Tools HDもVENUEにケーブル一本でつながるんですが、Pro Toolsの場合、当然VENUEしかつながらないんですよね。MADIなら、MADI搭載の卓であればYAMAHAでもDIGICOでもMIDASでもSoundcraftでも、何でも簡単につなげて録れるため費用対効果がすごく高いです。MADIのインターフェイスを1台持っていれば、PA業務の他にプラスアルファで録音の仕事も受けることができますしね。収録システムだけで200万とか300万とか高額な金額になってしまうとどうしても導入のハードルが高くなってしまうのですが、MADIの場合安価にシステムを構築できるのが魅力です。ちなみに、今回、RMEのMADIface USBとMADIface XTを1台ずつ導入したのですが、MADIface XTを導入したのはMADIが3系統あるという部分が決め手になりました。現場によっては、MADI1系統分の64chでは足りない場合があるので、そういった現場でも対応できる、その部分の将来性を買ったというわけです。

ハーフラックながら、USB3接続で最大196chの同時録音が可能なMADIface XT
ハーフラックながら、USB3接続で
最大196chの同時録音が可能なMADIface XT

ー 収録したマルチトラック・データを、バーチャル・リハーサルなどに活用することはありますか?

あります。普通にやっています。収録したデータを会場で流して事前に調整を行えるのは非常に便利ですよね。バーチャル・リハーサルというと、今まではほぼVENUE+Pro Toolsだけの特権でしたが、RMEのMADIface XTやMADIface USBを使えば、VENUEだけではなく、他の卓でも同じことができるのは魅力です。
あと、卓のトレーニングでも使いますね。ライブ・サウンドのエンジニアは、どうしても行く先々で卓が変わることが多いのですが、当然どの卓を使っていても同じサウンドクオリティー、パフォーマンスを求められるわけです。なので、スケジュールの空いている時に自社で卓のトレーニングを行うことが多いのですが、そういったときに非常に便利です。今回、MADIface USBとMADIface XTを導入したので、今後は、VENUE卓だけではなく他のブランドの卓でもトレーニングができますね。

手のひらサイズのUSB2.0オーディオインターフェイス。これ1台で64chの同時録音が可能
手のひらサイズのUSB2.0オーディオインターフェイス。
これ1台で64chの同時録音が可能

ー 実際にMADIface USB/MADIface XTをツアーで使用した感想をお聞かせください。

正直に言うと、私はPAエンジニアなので結構録音系は素人なのですが、操作が簡単でとても楽でした。ストレス無く録れたのは何より良いことだと思います。それから、収録したマルチトラック・データを、そのままスタジオ・エンジニアに聞いてもらったのですが、音も非常に良いと言われました。卓からダイレクトで録音できるので音もいい感じなのでしょうね。


津波古 尚 プロフィール

津波古 尚

1990年 日本ホールサービス株式会社入社。その後有限会社プロサウンドスタックへ移籍。入社以来、沖縄アーティストや琉球舞踊などの国内、国外コンサート、イベントに多数同行。現在も複数の沖縄出身アーティストと共に仕事をし、沖縄音楽業界との深い関わりを持つ。

http://www.prosoundstack.com

MONGOL800 プロフィール

MONGOL800

晴れ渡る青空と太陽のように明るくパワーみなぎるメロディと、心に響く歌詞で、多くのファンを魅了する沖縄出身3人組ロックバンド。略称は「モンパチ」。 代表曲としては「Don’t Worry be Happy」「小さな恋のうた」「あなたに」などがあるが、「琉球愛歌」や「矛盾の上に咲く花」など、琉球愛をテーマとした曲も多い。

1998年夏、高校在学中に現在のメンバーにより結成。CDセールス・ライブ動員数ともに快進撃を続け、2000年未発表曲「あなたに」が全国版TVCMに採用されるや、大きな反響を得て、2nd AL 「MESSEGE」は300万枚を超える大ヒット。以来、アルバムリリース、全国ツアー、数々の大型フェス出演などを精力的に行うかたわら、他アーティストへの楽曲提供や独自のイベント開催など、その活動はさらなる広がりをみせている。

メンバー:
上江洌清作(Vo/Ba)
儀間崇(Gt/Vo)
高里悟(Dr/Cho)

http://www.mongol800.jp/

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