三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza
三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza(オルケスタ・デ・ラ・エスペランサ)
24bit/192kHz FLAC/WAV/MQA Stereo

【通常版・MQA版】
HPL2版】

mp3/AAC Stereo


ジャンルを超え“21世紀の室内楽を創造する” ピアニスト、
三枝伸太郎率いるアンサンブル「Orquesta de la Esperanza」渾身のデビュー・アルバム

映画音楽、劇伴音楽を多数手掛ける新進気鋭の作曲家、三枝伸太郎のオリジナル曲を中心に演奏するタンゴの奏法を基調とした室内楽グループ。2014年4月、6人編成にて初演。雑司ヶ谷のタンゴバー『エル・チョクロ』を中心に公演を重ね、2015年1月、8人編成で渋谷公園通りクラシックスにて初演。構成メンバーは現在の日本におけるタンゴ演奏では最も人気のある若手中心の演奏家揃い。確固としたクラシック音楽の基盤の上に構築された、洗練されながらもどこか郷愁を帯びたラテンのエッセンスが絶妙に融合する三枝作品が描く彩り豊なストーリーを、エスペランサ=希望というユニットの名前が示すとおり、清々しい輝きに溢れた演奏と共にお楽しみください。
収録曲
プロモーション・ビデオ
プロモーション・ビデオ ダイジェストカット(YouTube)

プロモーション・ビデオ
プロモーション・ビデオ Peregrinación(YouTube)
  1. Spring is coming
  2. Peregrinación
  3. 組曲「希望の季節」Overture
  4. 組曲「希望の季節」桜の終わり
  5. 組曲「希望の季節」夏の二つの横顔1
  6. 組曲「希望の季節」夏の二つの横顔2
  7. 組曲「希望の季節」潮風とパレード
  8. 「忘れないと誓ったぼくがいた」
  9. 瞳の中の海 El Mar en Los Ojos
  10. Libertango
  11. At the sky in Moscow
アルバム概要
三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza(オルケスタ・デ・ラ・エスペランサ)
演奏:三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza
収録:2015年5月29日、30日 神奈川県立相模湖交流センター
アーティスト・プロフィール

三枝 伸太郎(作編曲、ピアノ)
1985年神奈川県出身。東京音楽大学大学院音楽科作曲専攻修了。2008年よりバンドネオン奏者、小松亮太氏のコンサート・ツアー、レコーディングに参加。2011年喜多直毅クアルテットにピアニストとして参加、ピアノの内部奏法を含む美しくも時として激しい独特な奏法に高い評価を得る。また作曲家として映画音楽、演劇のための音楽を多数手がけており2015年宝塚歌劇団OGによるコンサート&CDアルバム企画「Reijin」ではピアノ、アレンジ、音楽監督として活躍。映画音楽の仕事として、「忘れないと誓ったぼくがいた」「空の境界」「センチメンタルヤスコ」など。2014年自身のオリジナル曲を主に演奏する三枝伸太郎Orquesta de la Esperanzaを結成、モダンタンゴからジャズ、現代音楽の要素を含むオリジナリティある作品を発表し続けている。

北村 聡(バンドネオン)
1979年奈良県出身。関西大学在学中にバンドネオンに出会い、小松亮太に師事。国内外で数々のコンサートやタンゴフェスティバルに出演、2011年元ピアソラ五重奏団ピアニスト、パブロ・シーグレルのアジアチームに選抜される。またNHK『龍馬伝』『カーネーション』『八重の桜』など多数の録音にも参加。2014年9月東京オペラシティ「B→C」では古典タンゴやピアソラを封印し意欲的なプログラムで高い評価を得た。

吉田 篤(ヴァイオリン)
山口県出身。4歳よりヴァイオリンを始める。全日本学生音楽コンクール福岡大会第一位。東京芸術大学在学中よりタンゴを始める。「小松亮太&タンギスツ」や「小松真知子&タンゴクリスタル」等の楽団で活躍。東京芸術大学楽理科卒業後、同大学音楽院室内楽科ヴィオラ専攻修士課程修了。現在、東京芸術大学管弦楽研究部非常勤講師。

沖増 菜摘(ヴァイオリン)
広島県尾道市出身。小島秀夫、故・田中千香士、野口千代光、玉井菜採の各氏に師事。第15回中国ユースコンクール最優秀賞。2008年東京芸術大学音楽学部器楽科ヴァイオリン専攻卒業。2004年から2年間、広島国際文化財団より中村音楽奨学金授与。2009年より「小松真知子&タンゴクリスタル」に参加。タンゴピアニストの第一人者小松真知子氏のもと研鑽を積む。2010年第一回ネオ・クラシック国際コンクール奨励賞受賞。

吉田 篤貴(ヴィオラ)
岐阜県大垣市出身。東京音楽大学ヴァイオリン科を主席で卒業。在学中からヴァイオリンとヴィオラの両方を操り、スタジオワーク、ミュージカルなどで活躍し、河村隆一、絢香、宇多田ヒカル、古川雄大などと共演。タンゴ奏者としては小松亮太氏と共演、西塔祐三率いるオルケスタ・ティピカ・パンパに参加。コントラバスとの特異な弦楽デュオ「GALI×BULI」や、タップダンスとの斬新なステージなど、ジャズやジプシー音楽等でも存在感を発揮し注目を集めている。

島津 由美(チェロ)
大阪に生まれる。6歳よりチェロをはじめる。東京藝術大学にて学び、2006年修了。これまでにチェロを故・杉山実、林峰男、向山佳絵子 各氏に師事。室内楽、オーケストラでの演奏をはじめ、ジャンルにとらわれない活動を展開し、数々のアーティスト楽曲のレコーディングに参加する他、自身の参加するユニットにおいてはこれまでに8枚のCDを発表している。

※ゲスト・アーティスト

西嶋 徹(コントラバス)
1973年東京生まれ。5歳よりバイオリンを始め、高校の頃エレキベースを手にする。日本大学工学部を卒業後コントラバスに転向。これまでサポートしたアーティストはJazztronik、Pablo Ziegler、青木カレン、吾妻宏光、中孝介、綾戸智恵、ウィリアムス浩子、小野リサ、カルメンマキ、木住野佳子、小松亮太、須永辰緒、中島美嘉、葉加瀬太郎、長谷川きよし、古澤巌、ワサブローなど。2014年3月ピアニスト林正樹との2枚目のDUOアルバム『El retratador』をリリース。

相川 瞳(パーカッション)
2006年東京藝術大学音楽学部打楽器科卒業。これまでに打楽器を萱谷亮一、有賀誠門、藤本隆文の各氏に師事。2007年ブルガリアで開催されたプロウディフ国際打楽器コンクール DUO部門にて2位(1位なし)。2013年、大友良英&あまちゃんスペシャルビックバンドのメンバーとして紅白歌合戦に出場。ジャンルを問わずマルチなパーカッショニストとしてさまざまな場面において活躍中。

小田 朋美(ヴォーカル)
神奈川県生まれ。 国立音楽大学附属高等学校作曲科から東京芸術大学音楽部作曲科へと進み2012年3月に卒業。ソロ活動に加え、「dCprG」キーボーディスト、詩と音楽のコラボレーション集団「VOICE SPACE」コンポーザー、日本各地で行われる津軽三味線の名手・二代目高橋竹山の演奏会ピアニストなど、多岐にわたる活動を展開している。2013年、菊地成孔との共同プロデュースによる1stアルバム『シャーマン狩り』を発売。

希望の音楽 ─ ファースト・アルバムに寄せて ─ 柳 海秀(音楽ジャーナリスト)

 三枝伸太郎とオルケスタ・デ・ラ・エスペランサのファースト・アルバムが届いた。ピアソラの “リベルタンゴ” を除いて三枝のオリジナル曲が並ぶ。エスペランサ=希望というユニットの名前が示すとおり、清々しい輝きに溢れた作品と演奏である。
 作曲者自身がピアノを受け持ち、バンドネオンと弦楽四重奏というセクステットを基軸に、コントラバス、パーカッション、ヴォーカルがゲストに加わる。オルケスタ・デ・ラ・エスペランサの演奏家たちはいずれも名人揃いで、クラシック音楽のテクニックと素養を基盤としながら、三枝が譜面に描く彩り豊なストーリーを生き生きとした響きに変えて私たちに届けてくれる。ブエノスアイレスのタンゲリアで出会う、むせ返るような官能美に溢れた演奏というよりは、ソノリティの美しさが際立つ洗練された音作りが基調となっているが、演奏のクライマックスで見せる息を飲むようにスリリングで張りつめた緊張感の持続は、彼らの演奏技術の確かさとアンサンブルの次元の高さを十分に見せつけている。
 今日まで、三枝が世に送り出した作品は映像や舞台へ向けたものが多く、このアルバムも視覚的、絵画的な印象を持たせる作品揃いである。自作を語る言葉の中に登場する『やわらかい雨』『風の匂い』『冬と夏の間』といった感覚的な言葉は、私たちの心の中にそれぞれ固有の視覚的なイマジネーションを誘発する。このアルバムの中心に置かれた演奏時間30分をこえる大作“組曲「希望の季節」”は、三枝の言葉によると『3.11の震災のあと、春の終わりから夏までを描写したもの』とのことだが、まさに季節の巡りの中に生命の循環=サーキュレーションを感じさせる作品で、生きている全ての生命体が呼応しあい融合していくようなイメージが聴き手の心の中に広がっていく。三枝は3.11のカタストロフと個人的な体験について、『死と再生、しかし今までとは違う姿で』と書いている。深い内省と鎮魂に向き合いながら、心は常に希望の萌芽をまっすぐに見つめるその音楽は、夏の終わりに一人、たわわに稔る稲の穂が夕日に輝く広大な大地に立つようで、聴き手の心の中を吹き渡る一陣の風は限りなく清涼である。
 三枝伸太郎とオルケスタ・デ・ラ・エスペランサが描く音世界を見事に捉えた長江和哉の録音の純度の高さは(長江自身の諸作品がすでに証明しているものの)、さらに際立っている。弦楽器群のピッチの正確さから産まれる強固なトーンクラスタ(音群)、倍音が重なり合う先に広がる音の地平は一点の濁りもなく、三枝のスコア=総譜が産み出す重層的な音響の構造が透けて見えるようだ。さらに、蛇腹の振幅で風を送りながらリードを鳴らすバンドネオンが登場する場面では、辺りの研ぎ澄まされた空気の流れまで感じることができるようで、まさに生き生きとした音の連鎖が有機的な音楽の誕生に力を貸していく。作曲家と演奏家、そして録音エンジニアといった音の匠たちが集う最高の空間に身を置くことのできる幸せを、この作品は感じさせてくれる。

エンジニア・プロフィール
長江 和哉
1996年名古屋芸術大学音楽学部声楽科卒業後、録音スタジオ勤務、番組制作会社勤務等を経て、2000年に録音制作会社を設立。2006年より名古屋芸術大学音楽学部音楽文化創造学科 専任講師、2014年より准教授。
2012年4月から1年間、名古屋芸術大学海外研究員としてドイツ・ベルリンに滞在し、1949年からドイツの音楽大学で始まったトーンマイスターと呼ばれる、レコーディングプロデューサーとバランスエンジニアの両方の能力を持ったスペシャリストを養成する教育について研究調査し、現地のトーンマイスターとも交流を持ちながら、オーケストラから室内楽までの数々の録音に参加した。RME Premium Recordings第一作となる「飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013」にて第21回日本プロ音楽録音賞最優秀賞(2chノンパッケージ部門)を受賞。