ADI-2 DAC FSのESS版とAKM版は、技術仕様は若干異なる部分がございますが同等クラスのチップであり、多くの仕様はRMEが開発しているため、大きく変更される部分はありません。以下がチップの違いによる変更点です。
1)
AK4493とES9028Q2Mを搭載したADI-2 DAC FSは、音的にも視覚的にも簡単には見分けがつきませんが、ESSバージョンの場合はシリアルナンバーシールの最後に小さなCが印字されます。(Bの印字はAKM4493を示します。)
また、製品のJANコードが異なります。
2)
DAの周波数特性の向上(AKMチップ搭載製品の値)
3)
+2.5dB FSのデジタル・ヘッドルームが追加されました。ESS搭載ユニットで2.5dBのヘッドルームが追加された理由としては、AKMチップと同様のサンプル間のオーバーの処理を実現させることが目的です。この追加については、AKMチップとESSチップの仕様の違いによるものであり、単純なTHD+Nの数値の比較では一概に表現することはできません。
4)
選択可能なフィルターの種類に違いがあります。AKM搭載ユニットには「Short Delay Low Dispersion」というフィルターが、ESS搭載ユニットには「Brickwall」というフィルターが搭載されています。その他のフィルター、SD Sharp、SD Slow、Sharp、Slow、NOSは同じです。
ESS搭載ユニットのみのフィルター・オプションであるBrickwall について、理論的には、通常20kHzでわずかにレベルが低下しますが、この問題を解決するために、フィルターを少し上向きにして、22.05kHzではなく24kHzで最大の抑制効果が得られるようになっています。
AKMチップとは異なり、ESSチップはカスタムフィルターの読み込みに対応しており、RMEはESSチップ用にSD SlowとNOSのフィルターを設計し、そのフィルター係数は動作するチップへ書き換えられています。リクエストの多い位相線形のフィルターであるBrickwallが採用されており、これはRMEが設計した機能です。
5)
DSD Directは、AKMのみの機能になり、ESS搭載ユニットでは使用されません。ESS搭載ユニットではPCM変換せずにDSDデータを処理できるように設計されているためDSD Direct機能がなくても、DSD音源のボリュームを操作することが可能です。
6)
ESS搭載ユニットでは、Expert Settingsメニューが追加されます。このメニューでは、主にエンジニアや技術者を対象とした、THD補正や出力レベルの微調整など、チップ自体がもつ以下の設定パラメーターにアクセスできます。
THD Comp K2L (K2R、K3L、K3R) の設定
Gain Tune L、R