
クォリティは未知の領域へ
The Reference class AD/DA converter. PCM 768kHz + DSD256
ADコンバーターには4チャンネル仕様のAK5574をデュアル・モノで使うことにより、2チャンネルのアナログ入力において3dBのノイズ軽減を実現。DAコンバーターには旭化成の2chプレミアムDAC、AK4490を2系統のステレオ出力にそれぞれ1基ずつ搭載。EQ、位相メーター、スペクトラム・アナライザーといった内部シグナル処理には2.17ギガフロップ(2882MIPS)の高パフォーマンスDSPを使い、768kHzでも十分なパワーを得られる仕様になっています。
メインボードには10層構造の基板を使い、パワフルかつ分離の良い音を実現。オペアンプにTI社のSoundPlus™を採用することにより、SN比、全高調波歪み、スルー・レートすべてにおいて非常に高いパフォーマンスを実現。また、全ての内部アナログ・シグナル経路は完全にバランス回路として配置するともに、音質に影響を与えるコンデンサーは唯一入力ソケット(DCプロテクション)にのみ、定評のあるニチコンのオーディオ用不分極電解コンデンサーMUSEを使用。すべてが音質向上のためにデザインされています。
RMEの技術の粋を結集してスクラッチで新たにデザインされたアナログ入出力回路には、特別に開発したディスクリート・ハードウェアによる高性能の切替スイッチが搭載されています。慎重に選択されたこれらのコンポーネンツにより、120dBのSN比、0.0003%の歪み率、そして、周波数特性は0Hzから最高120kHzという驚異的なパフォーマンスを実現しています。
5バンド・パラメトリックEQ、バイノーラル・クロスフィード、ラウドネス・フィルタ、AD/DAフィルタの切替等々、通常のDACにはない多彩な機能を搭載するADI-2 Proは、フロントパネルに高精彩、高画質、広視野角を特徴とするIPS(In Plan Switching)方式の液晶パネル、3つのプッシュ機能付きエンコーダーと、4つのボタンが配置されており、全ての機能に直感的にアクセスが可能です
出力インピーダンス0.1Ω、最大出力レベル+22dBu、最大出力は2.2W/チャンネルという特性を備えたヘッドフォン出力は、SN比が120dBと事実上ノイズ・フリーのモニタリングが可能です。また、ヘッドフォンポートは「Extreme Power」出力仕様になっており、2つのポートは同じソースを聞くだけではなく、それぞれ異なるソースをモニターすることが可能であるとともに、同時に使用することによりヘッドフォンのバランス接続にも対応します。
RMEのリファレンスADA、オーディオI/OであるADI-2 Proが備える先進の録音・再生機能をどなたでも手軽に扱えるよう、PCM768kHz/32bit (int)・DSD11.2MHzの録音・再生が行えるアプリケーション「 Sound it! for ADI-2 Pro」 (Win/Mac) をバンドル。以前では考えられないほどのシンプルなシステムにも関わらず、最先端のクオリティーで録音を行うことができます。
オーディオ・ビジュアル評論家:麻倉怜士
Babyface Proの音がとても良かったので今回とても期待して聴かせてもらいました。まず感じたのはその圧倒的な情報量の多さで、さすがにプロのための機材だという印象を・・・ [全文を読む]
Babyface Proの音がとても良かったので今回とても期待して聴かせてもらいました。まず感じたのはその圧倒的な情報量の多さで、さすがにプロのための機材だという印象を持ったのですが、一方で音楽鑑賞という側面で聴くと、少し尖っていてきつく感じるところもありました。ところが、ACアダプタをオーディオ用電源、今回は偶々持ち合わせていた他の電源ユニットに換えてみたところ、まさに本領発揮と言いますか、見違えるように素晴らしい音になりました。この環境において低域から中域、高域の再現性と、時間軸の正確さまで、ファイルの中に含まれている情報を漏らさず再生してくれることが、分かりました。一般のDACとは一線を画した感がありますね。いろいろなソフトで聴いてみましたが、どんなコンテンツでも等しく音の生命感というか音の魂が勢いよく飛び出す感覚が得られました。オーディオ向けには様々な電源を換えて比較してみる楽しみもあると思います。
今回試聴した中でも特に情家みえさんの楽曲では、ピアノのペダルアクションから情家さんの持ち味であるニュアンスを豊富に含んだ音の階調感の表現が素晴らしい。また、レベッカ・ピジョンの『スパニッシュ・ハーレム』でmp3から24bit/176.4kHzのハイレゾ・データまで聴き比ベたのですが、ハイレゾになった時の音の律動感や空間感、ボーカルのふくよかさがとても感動的でした。情報量と音楽性というのはなかなか両立しないもので、情報量の多い機器は単に音が多いだけで終わってしまうのですが、このADI-2 Proは情報が緻密に存在しながら同時に音楽的な響きがする。つまりボーカリストが眼前で楽しませてくれている、とか、オーケストラが自分のために演奏してくれている、とか、そんなビビッドさが多情報量とともに感じられるのが流石、RME流だと思いました。
オーディオ・ビジュアル評論家:麻倉怜士|1950年生まれ。横浜市立大学卒業後、日本経済新聞社などを経てオーディオ・ビジュアル評論家として独立。新聞、雑誌、インターネットなどで多くの連載を持つ。日本画質学会副会長。津田塾大学講師(音楽学)
オーディオ・ビジュアル評論家:山之内 正
ADI-2 Proは外観から分かるとおり、これまでのRME製品とは違った方向性を感じます。例えばUCXは、ボリューム等のステータスをTotalMix等のアプリで確認しながら使うのが・・・ [全文を読む]
ADI-2 Proは外観から分かるとおり、これまでのRME製品とは違った方向性を感じます。
例えばUCXは、ボリューム等のステータスをTotalMix等のアプリで確認しながら使うのが基本でしたが、ADI-2 Proはスタンドアローンでも快適な操作性を実現するために、さまざまな工夫が盛り込まれています。
まず注目したいのが、ADI-2 ProがDAコンバーターやADコンバーターに加え、プリアンプ機能やヘッドフォンアンプ機能を持つことです。Macをお使いの方であれば、ADI-2 Proのための専用ドライバーは必要とせず、再生ソフトをインストールしたMacと繋いですぐに使うことができます。
AD/DAコンバーターの機能にも新しいフィーチャーがあって、USB接続で最大PCM 768kHz、DSD 11.2MHzに対応を果たしました。RMEの製品でDSDに対応すること自体も非常に画期的なことですが、スペックとしても現在求められる最先端のフォーマットをサポートしたことは大きな魅力ですね。また、2つの出力を持つヘッドフォンアンプをバランス駆動にも対応させたことは、ADI-2 Proに盛り込まれた注目すべき点だと思います。
私は普段、Fireface UCXを使っていますが、UCXのサウンドは色付けがなくクリアなニュートラルなものという印象です。ADI-2Proのサウンドは、そこから一歩踏み込んで、より積極的に鳴らしてくるような「聴かせる音」となっているように思います。これまでの高い解像度や豊富な情報量を活かしつつ、さらに音楽をダイナミックに聴かせてくれるんです。例えば、ヴォーカルは音像が鮮明かつクリアに定位しますし、加えてリズム楽器のキレの良さや反応の良さがあります。こうした印象はヘッドフォンでもスピーカーリスニングでも共通しています。
実際にハンドリングをしてみて感じたことは、使い勝手が良いことですね。フロントパネルには液晶パネルが搭載されていて、小さいながらも解像度が高い。斜めからみてもまったくコントラストは低下しませんし、スペクトラム・アナライザなどからはソースごとの特徴をよく読みとることができるほどの視認性の高さです。さらにこの画面でADI-2 Proの設定変更が、すべて手元でできてしまう。これまでのRME製品のようにパソコンありきではなく、本体だけで非常に簡単にADI-2 Proの基本機能にアクセスできることは魅力的ですね。ADI-2 Proは、紹介していこうとすると切りがないほど機能を搭載しています。これだけコンパクトな筐体でありながら実に多くの機能を盛り込んでいることには、プロ機としてスタジオをはじめ音楽の様々な場で活躍しているという実績が表れていると思います。
なによりも一番の魅力は、ここまでの小さな筐体にまとめながらも、やはり音の点での妥協がないということだと思います。このあたりは十層基盤を使って大変に精密に作り上げられたフルバランスの回路構成をはじめとして、デジタルオーディオとしての洗練された設計コンセプトを貫いた結果だと思います。その音の精度の高さ、ニュートラルな音色表現に加えて、三次元の立体感、奥行感、余韻の広がりと言った空間的な表現力も非常に高い。さらにヴォーカルなりピアノなり弦楽器なり、それぞれの音をストレートに再現するだけでなく、そこに込められている表情まで丁寧かつリアルに引き出してきます。
ADI-2 Proは「新しいRME」のアプローチかもしれませんが、音楽ファンにもオーディオファンにも普段使いの製品としてお薦めできる、そんな製品に仕上がっていると思います。
オーディオ・ビジュアル評論家:山之内 正|神奈川県横浜市出身。東京都立大学理学部卒。在学時は原子物理学を専攻する。出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後より、デジタルAVやホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。近著に『ネットオーディオ入門』(講談社ブルーバックス/2013年)がある。大学在学中よりコントラバス演奏を始め、現在もアマチュアオーケストラに所属し、定期演奏会も開催する。また年に数回、オペラ鑑賞のためドイツ、オーストリアへ渡航。趣味の枠を越えてクラシック音楽の知識も深く、その視点はオーディオ機器の評論にも反映されている。
エンジニア:深田晃
レコーディングでは音色の判断やノイズの確認、定位感の確認などヘッドフォンアンプは非常に重要度が高い機材です。レコーディング現場で確認しましたが、ADI-2 Proは十分なドライブ性能を持っているだけでなく・・・ [全文を読む]
写真家・ライター:山本耕司
これまでのFirefaceシリーズと違い、ADI-2 Proはマルチchには対応せず、L&R 2chステレオの構成による「据置型一般的オーディオ機器」というたたずまいだ。実機が届いてから・・・ [全文を読む]
これまでのFirefaceシリーズと違い、ADI-2 Proはマルチchには対応せず、L&R 2chステレオの構成による「据置型一般的オーディオ機器」というたたずまいだ。実機が届いてから数時間の通電をして音を出したのだが、音が出た瞬間「これは高級な音だなあ」と感じて肩の力が抜けた。宇多田ヒカル「Fantôme」のハイレゾ版を再生してみると、声のあたたかみ、人間が歌っている感じがよく表現されて心地良い。
小さな筐体の ADI-2 Proだが、広大なステージ感、スケール感に圧倒された。それでいて音が薄くならず、強い音は強く低音の押し出しが良い。繊細な表現がまた魅力的で微妙な強弱がよく表現され、ハイエンドオーディオ機器に匹敵する音だ。Fireface
UCXは端正な再生音だが、ADI-2 Proはさらに情緒的な音がする。とても力強い音なのだが、そこに美しい余韻と抑揚が加わるので、ADI-2 Proの音を好むオーディオ愛好家は多いだろう。
DSDデータからの再生音も素晴らしい。坂本龍一+モレレンバウム夫妻による「CASA」のDSD5.6MHz版を再生すると、ブレス音というほど派手ではない微妙な呼吸音、つまり息づかいがごくごく自然にそして明瞭にきこえてくる。「こういうのを喜ぶオーディオマニア(私)ってバカだよなあ」と思いつつ、オーディオと音楽の両面での快楽と満足を感じた。
ADI-2 Proはこの素敵な再生音に加えて録音もできるので、使いこなす楽しみがある。他のRME製品同様、10年あるいはさらに長い期間私たちの良きパートナーになるだろう。
写真家・ライター:山本耕司|1952年ロイ・ヘインズと吉永小百合が生まれた日が誕生日、魚座 O型、20代は東京都公認の手話通訳者、TYスタジオを経て、30代〜40代はフリーカメラマン、1997年StudioK’sを設立、50代は写真・音楽・料理・オーディオ、60代はさらに百人一首が加わり目標は伊達男
連載: RMEで愉しむ極楽オーディオ生活
ACアダプタ / デジタル・ブレイクアウト・ケーブル他