RME導入事例
録音段階から24bit/96kHz以上の真のハイレゾ・コンテンツを供給するために設立されたレーベル「RME Premium Recordings」より、第5作目となるアルバム後藤浩二『La Rencontre ─ めぐり逢い ─』が2015年3月21日にリリースされます。好評配信中の情家みえ『MIE JOKÉ sings BALLADS and other love songs』でも素晴らしいピアノを演じたピアニスト後藤浩二の、個人名義としては7年ぶりのソロアルバムとなる本作は、2014年の4月と6月に愛知県豊川市の小坂井文化会館(フロイデンホール)にてレコーディングされました。
レコーディングそしてマスタリング・エンジニアはRME Premium Recordingsの初回作となった「飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013」で第21回日本プロ音楽録音賞にて部門D最優秀作品を受賞した長江和哉氏。色付けのない透明無垢なサウンドを特長とするマイク・プリアンプRME Micstasyを使用してホールの音響特性を最大限に活かした氏のレコーディング手法は、今回のジャズ・ピアノのレコーディングでもジャンルやメソッドを超えた素敵な化学反応を引き起こし、作品をより魅力的なものとしています。
マイクロフォン、プリアンプ:
メイン・マイク
DPA 4006(オムニ)
スポット・マイク
Schoeps MK 4(カーディオイド)
ルーム・マイク
Schoeps MK 2S(オムニ)
マイク・プリアンプ
Micstasy M(MADIオプション付き)
メイン・マイクとスポット・マイクとの間には4ms程のタイム・アラインメントが施され、ホールの残響はルーム・マイクのSchoeps MK 2Sにより切り取られています。すべてのマイクはRMEのフラッグシップ機Micstasyに録り込まれ、その場でADコンバートされてMADIの光ケーブルによりコントロール・ルームへ伝送されました。光ケーブルは電磁波の影響を受けないので長距離を引き回してもノイズや信号の劣化が生じないのが大きなメリットとなります。なお、ステージとコントロール・ルームとのトークバック用に、同じくMADI接続されたOctaMic XTCのヘッドホン端子が使用されました。
オーディオ・インターフェイス:
HDSPe MADI FXをThunderboltシャーシに装着したエンジニアの長江氏のハンドメイドによるインターフェイス・ボックスにより、ThunderboltにてメインおよびバックアップのMacBook Proへ接続。DAWにはMAGIX Sequoiaが使用されています。またモニタアウト用にHDSPe MAID FXからのAES出力をFireface UCXで受けて、ヘッドホンやモニタスピーカーに出力しています。録音に関わる機材は実にシンプル・コンパクトであり、設置や撤収は30分程度で行うことができ、また、非常に省スペースなシステムで行われました。
ピアニスト後藤浩二が紡ぐ12の短い物語。RME Premium Recordings から配信
音楽生活20年の歳月の中でようやく新たな自分に出会った気がする。それは僕の作風の変化からも明らかであろう。ジャズという枠を超えたより大きな音楽の世界へと旅立ち、新たな自分にめぐり逢えたこのアルバムを通じて、多くの人がさらに多くの幸せにめぐり逢ってほしいと願っています。(後藤浩二、ライナーノーツより)
後藤浩二 ─ ピアノ
1973年名古屋市生まれ。父親の影響で4歳よりピアノをはじめ、南山大学入学と同時にジャズに傾倒、在学中より演奏活動を開始。2002年より毎年のようにオリジナルアルバムを発表、2004年には小曽根 真プロデュースによる、伊藤 君子(Vo)のアルバム『一度恋をしたら〜Once You've Been In Love』(2004年/ビデオアーツ・ミュージック)に4曲参加。年々活動の幅は広がり2007年にはハービー・メイソン(dr)をプロデューサーとして迎えブラッド・メルドーの右腕、ラリー・グレナディア(b)とニューヨークで制作されたトリオアルバム『hope』(2007年/ビデオアーツ・ミュージック)は大きな話題となった。またジャズヴォーカリストからの信頼は絶大で多数の作品に参加、クラシック音楽の演奏家との共演も多く、宗次ホールでのコンサートの模様を収録したアルバム『後藤浩二 ソロコンサートwith ストリングス』(2009年/爽健美舎SKB)をリリース。現在はTV- CM出演やラジオのパーソナリティとしての活動もこなしながら、名古屋を拠点に国内外で精力的に演奏活動・作曲活動を続けている。
長江和哉 ─ レコーディング&マスタリング・エンジニア
1996年名古屋芸術大学音楽学部声楽科卒業後、録音スタジオ勤務、番組制作会社勤務等を経て、2000年に録音制作会社を設立。2006年より名古屋芸術大学音楽学部音楽文化創造学科 専任講師、2014年より准教授。2012年4月から1年間、名古屋芸術大学海外研究員としてドイツ・ベルリンに滞在し、1949年からドイツの音楽大学で始まったトーンマイスターと呼ばれる、レコーディングプロデューサーとバランスエンジニアの両方の能力を持ったスペシャリストを養成する教育について研究調査し、現地のトーンマイスターとも交流を持ちながら、オーケストラから室内楽までの数々の録音に参加した。