RME導入事例
レコーディング・エンジニア:Mick Sawaguchi(ミック沢口)
1971年千葉工業大学 電子工学科卒、同年 NHK入局。ドラマミキサーとして「芸術祭大賞」「放送文化基金賞」「IBC ノンブルドール賞」「バチカン希望賞」など受賞作を担当。1985年以降はサラウンド制作に取り組み海外からは「サラウンド将軍」と敬愛されている。2007年より高品質音楽制作のためのレーベル「UNAMAS レーベル」を立ち上げ、さらにサラウンド音楽ソフトを広めるべく「UNAMAS-HUG / J」を 2011年にスタートし 24bit/96kHz、24bit/192kHz での高品質音楽配信による制作および CD制作サービスを行う。2013年の第20回日本プロ音楽録音賞で初部門設置となったノンパッケージ部門 2CHで深町純『黎明』(UNAHQ-2003)が優秀賞を受賞。2015年には第22回日本プロ音楽録音賞・ハイレゾリューション部門マルチchサラウンドで『The Art of Fugue(フーガの技法)』が優秀賞を、続く第23回では、ハイレゾリューション部門マルチchサラウンドで『Death and the Maiden』が優秀賞を受賞。さらに第24回日本プロ音楽録音賞の前同部門において最優秀賞を受賞、第25回日本プロ音楽録音賞・ハイレゾリュージョン部門「クラシック、ジャズ、フュージョン」において最優秀賞・スタジオ賞を受賞。日本プロ音楽録音賞4年連続受賞の快挙を成し遂げる......ハイレゾ時代のソフト制作が如何にあるべきかを体現し、シーンを牽引しつづけている。
一般的なサラウンドでお馴染みの5.1chに、高さを表現するハイト・スピーカーを追加した7.1ch、9.1ch、13.1chといったイマーシブ・オーディオへの注目度が高くなっており、劇場などの商業施設だけでなく、家庭用としても普及が期待されています。 当初は映画を中心とした映像作品で採用されたイマーシブ・オーディオですが、その高い空間表現力や没入感が評価され、音楽作品の表現方法の一つとして採用の動きが進んでいます。
中でもハイレゾ・サラウンド音源制作のトップランナーであるMick沢口氏(UNAMAS LABEL主宰)は、早くからイマーシブ・オーディオに注目し、異なるアプローチで数々のイマーシブ・オーディオ作品を手がけ、世界でも有数の知見を得られております。そんなMick沢口氏は、サラウンドの表現手法には、独立型サラウンドと臨場感サラウンドという二つの手法があると言います。
独立型サラウンドは、各チャンネルから実音を流す方法でPOPSや現代音楽で多く使われます。創造的な音場を作ることができますが、全チャンネルから実音が流れることは明確な実音が常にリアから再生されるため長時間試聴で耳が疲れるという現象が生じます。 それ対して臨場感サラウンドは、ホールやライブハウスの客席で聞いているかのような音場の表現です。客席での音場を再現することを目的としたクラシックやライブ音源に使われることが多いのですが、その場合実音はフロント中心となり、リアは残響が中心となるため、場合によると少し物足りなさを感じるかもしれません。
2013年、UNAMAS LABELは全チャンネル実音+臨場感というサラウンド表現を試みました。
それまでのUNAMAS LABELでのサラウンド表現は、リアからは空間の響きを主に流していました。上記の臨場感サラウンドと言うことができます。
しかし「Afterglow」(Eriko Shimizu&Strings4)では、ソロピアノ+弦楽4という音場を設定し、各チャンネルから実音を流しつつ、スタジオの響きも加えました。
これにより、リスナーはピアノとそれを取り囲む弦楽カルテットの真ん中で演奏を聞いているような試聴体験が可能となります。創造的かつリアリティのある音場の誕生です。
Mick沢口氏は、この手法を「主観的サラウンド」と呼んでいます。
当時の「Afterglow」収録については、過去の記事で詳細を紹介しております。
https://synthax.jp/user-artists/articles/unamas-afterglow.html
その後、UNAMAS LABELは、主観的サラウンドという手法をさらに発展させるべく、2014年から軽井沢大賀ホールにおいて、定期的に9chサラウンド収録(時に13chサラウンド)を行い、作品を発表してきました。
大賀ホールは、ソニー株式会社の名誉会長を務められていた故大賀典雄氏の発注で、世界一音の良い音楽専用ホールというコンセンプトから誕生したホールです。正五角形の平面を持ち、非常に美しい響きを持つホールとして評価を高め続けています。
Mick沢口氏が、どのようにその美しい響きをハイト・マイクで収録してきたのか、大賀ホールで毎年行われているUNAMAS CLASSICシリーズ収録の変遷をたどると、大変興味深いものが浮かび上がってきます。
2015年3月に録音された「The Art of Fugue」(2015年6月リリース、第22回 日本プロ音楽録音賞優秀賞受賞作)では、初期反射を捉えるために、ステージ上で天井向きのハイト・マイキングを試みています。単独楽器の音がメインとなるフーガの録音では、豊かなアンサンブル音を捉えるより初期反射で音楽を補強する方が効果的という分析から実施されたマイキングです。
続いて同年12月録音の「Death and the Maiden」(2016年4月リリース)では、ステージと客席の境目に、客席へ向けたハイト・マイクが設置されます。ダイナミックで勢いのあるアンサンブルから客席に飛んでいく音を、後ろから捉えるためです。
翌年2016年12月録音の「Souvenir de Florence」(2017年6月リリース)では、ステージ上部にある合唱バルコニー席にハイト・マイクが置かれます。メイン・マイクからは約20m離れた位置で、これまでで最も遠くに設置されています。その理由は、編成が七人編成とこれまでで最も大きくなったことから、大賀ホールの豊かな響きを捉えることを目的としたものです。
そして今回リリースされた2017年12月録音の「Touch of Contra Bass」では、より重厚な編成となりさらにホール客席側の響きを多く捉えるため、2F客席中央部への設置となりました。ステージからは約40mもの距離となります。
「The Art of Fugue」 |
「Death and the Maiden」 |
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「Souvenir de Florence」 |
「Touch of Contra Bass」 |
これらはハイト・マイクの位置が、ステージの演奏者から少しずつ距離が遠くなる過程でもあることが分かります。Mick沢口氏は「Touch of Contra Bass」の収録を一つの締めくくりとして、「大賀ホールの響きとハイト・マイキングの関係に一定の方向性を出すことを目指した。」と話しています。
「The Art of Fugue」 |
「Death and the Maiden」 |
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「Souvenir de Florence」 |
「Touch of Contra Bass」 |
またハイト・マイクの位置は、音楽的な裏付けがあってのものということも見逃せません。
「The Art of Fugue」では(ヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)、「Death and the Maiden」では(ヴァイオリン×2、チェロ×2、コントラバス)、「Souvenir de Florence」では(ヴァイオリン×2,ヴィオラ×2,チェロ×2,コントラバス)、「Touch of Contra Bass」では(ヴァイオリン×3,ヴィオラ,チェロ,コントラバス×2)と、弦楽編成は少しずつ大きくなり、また低域を担当する楽器の比重が大きくなりました。大きく重厚な編成ほど、豊かな響きがホールに行き渡るため、ステージから離れた位置にハイト・マイクを置くことが有効となります。
編成だけでなく、音楽のスタイルも重要な要素です。単音が重なるフーガ形式の楽曲では初期反射を捉え、勢いのある楽曲ではステージから客席へ飛んでいく音を捉えたりといったようにです。
Mick沢口氏は、ハイト・チャンネルのマイキングは不規則な配置でなければ、どのような楽曲を制作するかにより柔軟性があって良いと話しています。
ハイト・マイクの変遷がある一方で、UNAMASのメイン・マイキングは「Afterglow」からのリスナーを囲む配置での全チャンネル実音が定番となっています。また大賀ホールの録音では、「The Art of Fugue」以降、実音収録にNeumannのデジタルマイクKM 133 DとRMEのデジタル・マイクプリアンプDMC-842 Mが一貫して使われています。その理由は、弦楽器の微細なニュアンスまで捉えた各収録を一聴すれば明らかです。
なお、「Souvenir de Florence」まで大賀ホールで行われた収録の変遷と成果については、集大成である「The Sound of Ohaga Hall Best Selection」にて確認することができます。
美しいホールの響きを、高品質な録音で堪能できる作品です。
また収録曲のいくつかについて、当時の様子を下記記事で紹介しております。
大賀ホールで行われたUNAMAS収録の変遷について、さらに詳細を知ることができます。
UNAMAS LABELがもう一つこだわってきたことに低域の表現があります。
これまでも、「The Art of Fugue」では4声の原曲にコントラバスを入れて5声のポリフォニーとし、「Death and the Maiden」ではヴィオラ・パートをチェロが担当する編成とし、「Souvenir de Florence」では原曲が重厚なヴァイオリン×2、ヴィオラ×2、チェロ×2の編成を、さらにコントラバスを低音補強に加えたりと、低域に重きを置いたアレンジを一貫して行なってきました。
そして新譜の「Touch of Contra Bass」では、満を持してコントラバスをソロ楽器としてフィーチャーし、コントラバスの繊細さと低域の迫力を追求しています。
また7人編成、4人編成、コントラバス・ソロと3つのパターンで収録を行い、コントラバスの多様な魅力を引き出しています。
「Touch of Contra Bass」収録曲1曲目のGran Duo Concertanteでは、ソロ・ヴァイオリンとソロ・コントラバスの2名に伴奏の5名(ヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)を加えた7人編成で、一般的な弦楽合奏の編成と比較すると圧倒的に重厚な編成が組まれました。センター全面にソロのコントラバスとヴァイオリンを配置し、その周りを5人が取り囲む配置でレコーディングが行われています。
今回も各楽器の実音収録には無指向性のデジタルマイク、Neumann KM 133 D が採用されています。ミッドレイヤー・サラウンドにSanken CO-100K x2 、トップレイヤー・サラウンドにSanken CUW-180(ステレオ・ペア)x2となっています。これはUNAMAS LABELでの収録では定番となっている組み合わせです。
メイン楽器となったコントラバスには、Neumann KM 133 Dに加えて、LFE用としてBrauner Phantom Classicが使われました。
そしてマイク・プリアンプには、デジタル・マイクのプリアンプとしてDMC-842 Mが、アナログ・マイクのプリアンプとしてMicstasy Mが使用されています。
Brauner Phantom Classic |
中段DMC-842 M、下段Micstasy M、上段にはMADI Router |
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なおレコーディングシステムには、これまでの大賀ホールでの録音と同様に、RMEが推進するMADIシステムが採用されています。2台のマイク・プリアンプからの信号をMADI Routerを通じて分配し、メインのMADIface XTを通じてPyramixへ、もう1台のMADIface XTはバックアップとしてSEQUOIAに送られ、アナログ・ケーブルによる音質劣化を極限まで抑える事に成功しています。
また今回ノイズ対策にもさらに新たな取り組みが行われました。
「ノイズ・バスター」として知られる株式会社JIONの宮下清孝氏が、カスタムのバーチャル・アースボックスを2台製作し、ステージとモニター・ルーム電源に設置しました。
その効果は特筆すべきものがあったようで、これまでをも上回る新鮮な音との評価があったことを沢口氏は話しています。試聴会でもその透明さと情報量の多さに、参加者が衝撃を受けていたのが印象的でした。
ステージに置かれたバーチャル・アースボックス |
アース結線 |
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「Touch of ContraBass」収録曲2〜4曲目のSonata for Strings NO1 in G Majorは4名編成(ヴァイオリン×2、チェロ、コントラバス)編成のため、通常のDecca Tree方式で行われました。チェロとコントラバスを真ん中に、左右にヴァイオリンという配置となっており、左右で為されるバイオリンの掛け合いが心地よいものとなっています。
またフロントからのかぶりを低減するために、Ls-Rsマイクに使われたNeumann KM 133 Dには音響カプセルが取り付けられました。
5曲目のTheme from Schindler’s Listは、チェロのソロによる有名な原曲をコントラバスのソロにアレンジしたものです。Mick沢口氏は、今回最も思い入れの強い収録曲になったと話しています。
ソロ演奏ということで、フロントL-C-Rを狭くしたDecca Treeマイキングとなっています。
コントラバスの繊細さと大賀ホールの美しい響きが余すことなく収録された「Touch of Contra Bass」は、極上の音楽空間に私たちを誘います。コントラバス・ソロ収録における、金字塔的作品となるかもしれません。
UNAMASレーベルでは、その制作において常に「Art」「Technologies」「Engineering」の三つのコンセプトを掲げ、融合させることに成功しています。今回はコントラバスをフィーチャーし、異なった編成による三つのパターン全てにおいて、高いレベルで融合・結実した作品になっていると言えるでしょう。
7.1ch、9.1ch、13.1chといったハイト・チャンネルを置いたイマーシブ・サラウンドは、まだ普及の途上にあります。今後、ハイト・チャンネルのある環境がより身近になった時、UNAMASレーベルが収録してきた音源の価値はより高まるはずです。 私たちは響きの美しいホールに行き極上の演奏を客席で体感することはできますが、ホールのステージに上がり自分の周囲を弦楽団が囲み演奏する機会にはおそらく恵まれないでしょう。
しかしイマーシブ・サラウンドにより、ホールに行くことなく体験することができます。ハイト・マイクを含めた高い技術での収録と主観的サラウンド表現が、私たちをホールにいるかのような再現性で、なおかつ現実では難しい創造性のある音楽空間を可能にします。 UNAMASの作品は、私たちに新しい時代の新しい音楽体験のあり方を提案し続けています。
Touch of Contra Bass
G. Bottesini Grand Duo Concertante
Rossini G. Antonio Sonata for Strings no-01 in G Major
J. Williams Theme from Schindler's List
UNAMAS Strings Septet
e-onkyo
プロモーション・ビデオをYouTubeで4K配信中
「Touch of Contra Bass」のプロモーション・ビデオとインタビューがYouTubeで4K配信されています。
動画再生後、プレイヤー下部の「設定-画質」より「2160p 4k」を選ぶことにより現行フルHD(フルハイビジョン)の4倍の画素数となる4K画質でご覧になれます。
北村 一平 (コントラバス) solo on Gran duo
埼玉県出身。2002年東京藝術大学器楽科卒業、05年同大学院修士課程修了。在学中、別府アルゲリッチ音楽祭に参加。2005年、ガウデアムス音楽祭(オランダ)参加、JULIAN YU作曲PENTATONICOPHILIAにてソリストを務める。2006年小澤征爾音楽塾Ⅶ「復活」に参加。コントラバスを永島義男、黒木岩寿、西田直文、山本修、石川滋の各氏に師事。オーケストラから吹奏楽、スタジオワークやミュージカルまで、幅広く活動。東京藝術大学管弦楽研究部非常勤講師を経て2006年に東京交響楽団に入団し、現在に至る。
田尻 順 (ヴァイオリン) solo on Gran duo
7歳よりヴァイオリンを始める。本間美子、故久保田良作各氏に師事。1988年桐朋学園大学を卒業。卒業と同時に群馬交響楽団に入団、在籍中は首席代理奏者を務める。群馬交響楽団とコンチェルトの共演やリサイタルを開催するなど主に群馬県を中心にソロや室内楽の活動もする。1994年“プラハの春”国際音楽祭、ウィーン芸術週間に参加。1994年首席奏者として東京交響楽団に入団。皇居内の桃華楽堂において御前演奏するなど東京交響楽団ともソロを共演。1998年同団のアシスタントコンサートマスターに就任。2002年NHK FMリサイタルに出演。2004年にシリウス弦楽四重奏団を結成。東京交響楽団弦楽四重奏団としても光が丘IMAホールでのシリーズを展開。他にもスタジオミュージシャンとしてもCMや映画音楽などの録音にも携わりその活動は多岐にわたっている。
竹田 詩織 (ヴァイオリン)
1988年生まれ。2010年東京藝術大学音楽学部器楽科ヴァイオリン専攻卒業。京都芸術祭「世界に翔く若き音楽家の集い」京都市長賞受賞、全日本学生音楽コンクール、日本クラシック音楽コンクール、横浜国際音楽コンクール、ルーマニア国際音楽コンクール等数々のコンクールに上位入賞、入選を果たす。 大学在学時より、ソロ・オーケストラ・室内楽での活動の他、多数の著名アーティスト楽曲レコーディングやライブサポート等様々なフィールドで活動。自身がリーダーを務めるストリングスでの活動も多数。 様々な音楽活動を経て、2012年より東京交響楽団ヴァイオリン奏者としてのキャリアをスタート。現在プロオーケストラ奏者としての顔の他に、その経験を生かした多彩な音楽活動を展開している。2014年UNAMASレーベルよりハイレゾリリースした「Four Seasons」では弦楽4のリーダーとしてロングセラーアルバムとなる。
中村 楓子 (ヴァイオリン)
5歳よりヴァイオリンを始める。桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を卒業後、桐朋学園大学音楽学部カレッジ・ディプロマコース在籍中に東京交響楽団のオーディションに合格。現在、東京交響楽団第1ヴァイオリン奏者。第65,66回全日本学生音楽コンクール東京大会バイオリン部門高校の部入選。第22回日本クラシック音楽コンクール高校女子の部 第4位。第7回横浜国際音楽コンクール弦楽器部門 大学の部 第1位。 2011年 桐朋Students’ concert、桐朋学園音楽部門 平成24年度高校卒業演奏会、第20回河口湖ヴァイオリン・セミナー優秀者によるハーフリサイタル“新しい風”などに出演。 2013北九州国際音楽祭オープニング・ガラ・コンサートに祝祭弦楽合奏団として参加。アフィニス夏の音楽祭2016山形に参加。これまでにヴァイオリンを宮崎ありさ、吉野薫、豊田弓乃の各氏に師事。
多井 千洋 (ヴィオラ)
大阪府大阪市出身。愛知県立芸術大学、東京藝術大学大学院、京都市交響楽団を経て、東京交響楽団に在籍中。2010年ヴィオラスペース名古屋公演にて、今井信子氏と室内楽で共演。第21回レ・スプレンデル音楽コンクール室内楽部門1位。オーケストラのみならずソロ、室内楽においてバロックから新作初演まで、幅広く活動している。ネクスト・マッシュルーム・プロモーションメンバー。
西谷 牧人 (チェロ)
奈良出身。東京藝術大学音楽学部を経て、同大学院修士課程修了後、アメリカのインディアナ大学にて研鑽を積む。チェロを河野文昭、菊地知也、堤剛、ヤーノシュ・シュタルケルの各氏に師事。2005年留学を終えて帰国し、佐渡裕氏率いる兵庫芸術文化センター管弦楽団に第1期生として入団。これまでに、コンチェルトのソリストとして秋山和慶、尾高忠明、佐渡裕ら各氏との共演や、大谷康子弦楽四重奏団、小松亮太タンゴ楽団、ライブイマージュ、葉加瀬太郎Violin Summitへの参加など、多岐にわたる演奏活動を行っている。2013年1月にはピアニストの練木繁夫氏を共演者に迎え、東京と京都でのリサイタルを開催。好評を博し2013年度青山音楽賞を受賞。2015年、新たな音楽分野への挑戦として、東京交響楽団首席ヴァイオリン奏者の清水泰明氏とユニット「清水西谷(shimizunishiya)」を結成。全曲オリジナル曲&2人の演奏のみの多重録音によるデビューCDアルバム「KODO」を11月に発売。作曲、編曲、ライヴ活動も展開している。 2008年より現在、東京交響楽団首席チェロ奏者、及び東京藝術大学非常勤講師。
菅野 紗綾 (コントラバス)
高知県出身。10歳より小学校の部活動でコントラバスを始め、高校から本格的にレッスンを受け始める。東京芸術大学音楽学部器楽学科に入学。在学中、学校内の室内楽コンサートに出演。別府アルゲリッチ音楽祭に参加。同大学卒業後、フリーのコントラバス奏者として、バレエやオーケストラなどで活動中。これまでに、永島義男、石川滋、山本修の各氏に師事。