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IEEEによって策定されたオープンな標準規格であることは、AVBのもう一つの特徴です。デバイスの検出と接続確立のメカニズムだけでなく、デバイスをコントロールするコマンドも規格に内包されています。
異なる実装を共存させることも可能なオープンな標準規格です。日常生活での実装例として車での事例を挙げてみましょう。AVBを使うことで、後方カメラの映像データと後部座席で使用されるエンターテインメント・データを個別に扱うことができます。APPLEは数年前からMacOSにAVBを統合しています。d&b audio、L’Acoustics、MeyersoundなどのPAカンパニーやAVID、dsp4you、MOTU、Presonus、RMEなどのオーディオ・メーカーがAVBを採用しています。XMOSやBACH/ROSSなどの製品にも実装されています。
しかし、実装の仕方がメーカーによって異なるため、相互運用は保証されません。たとえば、製品によってストリーム・サイズやストリーム・フォーマットが異なる場合があります。これを打開するため、業界団体「AVnu Alliance」は、プロトコル実装ガイドラインを厳格に定めたAVBのサブセット「MILAN」を策定しました。
MILANはデバイス・メディアとデバイス・マネージメントの両レイヤーにおける相互運用が保証されるプロトコルです。MILAN製品はすなわちAVB製品でもありますが、すべてのAVB製品がMILAN製品ではありません。つまり実装の際は、MILANの厳しい要件に適合するようにチェック/調整が行われる必要があります。
RMEはMILAN実装にあたり、既存のAVB製品をアップデートし必要な機能を追加しています。たとえば8チャンネル・ストリームにおける高効率32ビットAAFオーディオ・フォーマットのサポートなどがこれにあたります。スイッチに関しては、AVB対応製品であればMILANでもそのまま使用できます。
MILANでは異なるAVB実装間の互換性が保証されるため、Danteなどのネットワーク・オーディオ・ソリューションへ繋げることが可能となります。
AES-67/ST2110
AES67はAudio Engineering Societyによって2013年に批准され、その後、ネットワークにおけるオーディオのカプセル化を規定するためSMPTE2110に統合されました。
「“AES67”自体はオーディオ・ネットワーク・ソリューションではなく、異なるオーディオ・ネットワーク・プロトコルが互いに通信し合うための相互運用ガイドラインである。」とされていることから、最小共通項として捉えることができます。
オペレーション仕様を拡張することによりソリューションを提供している会社もあります。AES-67の場合、検出、コントロール、ストリーム定義、デバイス管理を追加します。検出、コントロール用のユーザー・インターフェイス、エンド・ユーザー・トレーニング、サポート、診断ツール、バーチャル・サウンド・カードなどが、ソリューションに含まれる場合もあります。
Ravennaはブロードキャストに焦点を当てたソリューションですが、デバイス・コントロールのメカニズムを統合していません。Merging Anemanのようなソフトウェアを使用して、Dante Controllerと同様な機能でデバイスを検出したりストリームに接続したりすることができます。
IPネットワーク・スケーリング
IPベースのネットワーク・スケーリングには、次のようないくつかの問題点があります。 システムの規模が大きくなる、またはVoIPなどの他の多くのトラフィックが統合される場合、スイッチの設定が必要となります。 タイミング精度に問題が生じた場合は、透過クロックを導入する必要があります(非常に高価な業務用PTP対応スイッチ)。 デバイスは同一のサブネット上になければならず、順番に管理する必要があります。 マルチキャスト・トラフィックの管理が必要となります。そして最後に、ネットワーク上で他のトラフィックの実行は推奨されません。オーディオのみに使用する必要があります。
決定論的ネットワークを達成するには、オーディオ・エンジニアがスイッチのウェブ・インターフェイスやコマンド・ラインを駆使してこれら全てを設定をしなくてはなりません。
IPネットワークにAVBスイッチ・テクノロジーを導入する方法がありますが、これは実際にDanteネットワーク策定当初から計画されていたものの、後に計画は中止されました。2011年のホワイト・ペーパーをご参照ください。
これらに対し、Audinate社は独自のインターフェイス、モニタリング、ドメイン管理ツールを使用してネットワーク全体を独立したエコシステムに移動することにより、完成されたソリューション(Dante)を提供しています。これは、メーカーが統合し易い相互運用可能なソリューションですが、商標で守られていることから、コストとユーザー・エクスペリエンスのデザイン面で妥協を強いられることになります。
AVBネットワーク対応に関する当初の計画
Danteは厳密に言えばすでに2011年にはAVBに対応する準備ができており、明確な移行パスも示されていました。このノートは、DanteネットワークがAVBスイッチ・インフラからどのような利益が受けられるかを示しています。AVBに対応するアプローチはAudinate社により中止されました。理由は多くのユーザーがAVBスイッチを購入したがらないと推定されたからです。当時はスイッチは発売も品質保証も行われていませんでした。しかし、現在はその状況が変っています。
現在ではAVBスイッチは次々と市場に展開されています。Luminex、Cisco、Netgear、Arsta、Extremeなどの業務用製品に追従し、PresonusやMOTUのエントリー・レベル製品も登場しています。AVBでは、DHCP、VLAN、QoS、EEE、PTPやその他の機能を監視/設定する必要はありません。したがって上記のスイッチは設定の必要なくAVBスイッチとして使用することができます。接続すれば動作するのです。
AVBスイッチがストリームを検出し、どのストリームがどのネットワーク・ポートに伝送されるかを監視します。将来的にはポートの割り当てや接続状況など、プラグ・アンド・プレイ・ネットワークの使用を手助けする情報をユーザーに知らせることも可能です。独自機能や、さらなる規格/プロトコルを追加する必要はありません。ユーザーに見えないだけで、すでにすべて揃っているのです。
AES-67は、AVBのインフラによる恩恵を受けることもできます。規格内ではAVBの優位性を明示的に示しています:
以上のことで分かるように、AVB / MILANスタンダードは、パフォーマンス、信頼性、操作性の上でが有利であることは明らかで、今後さらにスイッチがgPTPを認識し、ストリーム予約やトラフフィック管理が導入される中、他のST2110、AES-67、Dante、Ravennaなどのネットワーク・オーディオでこのテクノロジーを利用するための魅力が一層高まっていくでしょう。
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