オーディオ・ネットワークはAVB、Dante等の規格によってそれぞれ違いがあり、その「違い」が各規格の強みだと言えます。これらの違いを紐解いていくために技術的な背景を含めて解説します。
1 GigE link:500チャンネル以上
MADIが125MBit/sで伝送されるのに対して、ネットワーク・ソリューションは1 GBit/sを使用してより多くのチャンネル数(500チャンネル以上)を伝送します。さらにMADIは常に全帯域を使用するのに対して、ネットワーク・オーディオ機器は必要なチャンネルだけ使用するため、ごく僅かな帯域のみを使用します。
ここでは「ストリーム」という概念を理解することが重要です。ネットワーク・オーディオのストリームとは、一つのマルチコア・ケーブルと考えて良いでしょう。一つのストリームはチャンネル数が一定で、必要のないチャンネルも含めて全チャンネルが常に伝送されます。例えばMADI信号の場合64チャンネルが1つのストリームです。1つのチャンネルのみ伝送する場合も64チャンネルが伝送され、残りの63チャンネルはオーディオ・データを含みません。
ストリームを使用してオーディオ・チャンネルをグループ化し、論理要素にまとめることにより、ネットワーク上のオーディオ伝送をより効率的かつ容易に監視することができます。
Dante
・4チャンネル
AES-67
・標準仕様:8もしくはそれ以下のチャンネル数を一つのストリームで伝送、受信側は1〜8チャンネル・サポート
・メーカーにより変更可能:8チャンネル以上
AVB
・チャンネル数の限度なし
MILAN
・標準仕様:1ストリームにつき8チャンネル
・メーカーにより変更可能:チャンネル数の限度なし
Danteストリームは、「flows(フロー)」と呼ばれ常に4チャンネルが伝送されます。Gigabitネットワークでは、1フローは使用可能な帯域の中で1%未満しか使用しません。フローはデフォルトでは送信元から1つの受信先へ伝送され(ユニキャスト)、場合によって1つの送信元からネットワーク状にある全ての受信先へ伝送させることも出来ます(マルチキャスト)。
AES67対応機器は、8チャンネルまたはそれ以下のストリームを少なくとも1つ送信でき、同時に、8チャンネル以下のストリーム(全てのチャンネル・サイズ)を少なくとも1つ受信できる必要があります。つまり、AES67対応機器は2チャンネルの出力ストリームを送信する場合でも、受信側で1、2、3、4、5、6、7、8チャンネルのストリーム(全て)の接続に対応可能な必要があります。
ストリームはユニキャストまたはマルチキャストの両方で伝送することが出来ます。マルチキャスト・ネットワークにおいてトラフィックを減らすには、ストリームを必要としないデバイスに対してトラフィックを伝送しないようにスイッチを管理することが出来ます(IGMPスヌーピング)。
AVBストリームでは、送信側と受信側のデバイスのチャンネル数に制限はありません。各メーカーによってどのストリーム・サイズをサポートするかを決定します。2つ以上のストリーム・サイズがサポートされる場合、ユーザーはストリームの入力および出力のポート・サイズをデバイス上で設定します。ストリームは設定されたストリーム・サイズと同じサイズのストリーム・ポートにのみ接続されます。例えばデバイスAが4チャンネルのストリーム・ポートに設定され、デバイスBが8チャンネルのストリームのみに対応している場合、これらのデバイス間はリンクされません。
AVBの一部の規格であるMILANは、AES-67として送信と受信側を同様のチャンネル・セットに標準規格として規定することで上記の問題を克服しています。現状では、ほぼ全てのメーカーのAVB製品は、送信、受信ともに8チャンネルのストリームに対応しています。MILAN対応機器はAES67と同様で、1、2、4、6または8チャンネルのストリームを1つ送信する場合も、受信側はそれら全てを受信可能な必要があります。
AVBおよびMILANはAVブリッジと呼ばれる特別なスイッチを使用してユーザーがトラフィック管理をする必要がありません。また、全てのAVBストリームは常にマルチキャストで伝送されますが、ストリームを認識するスイッチによって、これらを管理する必要がありません。
※ AVBのバンド幅の要件を計算する際には、Jeff Koftinoff氏によるabc.statusbar.comのツールを使用すると便利です。リンクの速度、サンプル周波数、ストリーム・サイズから使用可能なチャンネル数を算出できます。
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