AVBインフォメーション - Synthax Japan Inc. [シンタックスジャパン]

AVBインフォメーション

AVB Introduction ─ AVBの概要

AVBとはAudio Video Bridgeの略で、FireWireやLAN(IEEE802)などの規格を開発したIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)によって制定された規格で、イーサネットのネットワーク内で、オーディオ、ビデオの伝送を行うために開発されました。

AVBは後にTSN(Time Sensitive Network)と名称が変更されますが、現在はどちらも同じように使われます。

オープン・プロトコルで、どのメーカーも自由に実装できることから、次世代の標準プロトコルとして多くのメーカーが採用を進めています。

AVBの利点

約束されたタイミングで同期性を保証

AVBの特徴として、まずネットワーク帯域の予約を行い、約束された精密な時間で送受信が行えることが挙げられます。

通常のイーサネットのネットワークには時間という概念が存在しないため、タイミングがクリティカルなオーディオ伝送にとって、AVBのようにタイミングが保証される仕様は必要不可欠です。

AVBのネットワーク上に存在するデバイスは約500ナノ秒の精度でクロックが同期するため、非常に精密な精度と言えます。

AVBネットワークやクロックの詳しい技術情報はこちら

専用スイッチで自動的にトラフィック管理

2つ目の特徴として、AVBスイッチが挙げられます。

AVBは必ずAVBに対応したスイッチを導入する必要があります。

通常のイーサネットではIGMPスヌーピングやDiffServ QoSなどの機能を使用してトラフィック管理を行いますが、完全な精度のタイミングやトラフィック伝送を完全に保証することはできません。

AVBはこれらの管理を専用スイッチで自動的に行う機能が予め実装されているため、多機能で高価なスイッチングハブを別途購入したり、オーディオ・エンジニアがこれらのネットワークの専門知識を習得する必要がなく、現場のクリエイティブな作業に専念することができます。

AVBでは接続ケーブルに一般的なCat5eケーブルを使用

3つ目の特徴・利点として挙げられるのは、接続ケーブルに一般的なCat5eケーブルを使用する点で、既存のインフラを利用したり、安価で簡単に調達することができます。

さらに大規模なセットアップの場合は、出力を入力に接続していく「Point to Point」セットアップではデジタル機器のクロックやルーティングの設定が複雑になりがちですが、AVBの接続はスイッチを中心とするスター接続のため、規模が大きくなっても非常にシンプルで効率の良いシステム構築が可能です。

AVBの現状と互換性

AVBはAvnuやMILANというアライアンスが存在する

AVBはその精密なタイミングと精度の高さによって、オートモーティブやロボット、製造業などの時間管理がシビアな業界でも使われるようになりました。

AppleもAVBをMacに標準で実装しているなど幅広く浸透しています。

AVBは、オーディオ/ビデオデータの送受信だけでなく、各デバイスのあらゆる機能を相互的に管理できるように、コントロール情報も含めた幅広い規格設定がされています。

メーカー間の製品の互換性を保証するAvnuや、オーディオにおいてはMILANというアライアンスが存在し、これらに対応する機器はプラグアンドプレイで簡単に接続させることができます。

AvnuやMILANのより詳しい情報はこちら

チャンネル数と伝送距離

1GigE linkのネットワークで500チャンネル以上、最大100mの伝送が可能

AVBは1 GigE linkのネットワークで500チャンネル以上のオーディオ・チャンネルを扱うことができ、Cat5e/6のケーブルで最大100mの伝送が可能です。

ネットワーク・オーディオのチャンネル数の比較

AVBのレイテンシー

レイテンシーはAVB標準規格で2 msと定められている

レイテンシー(最大伝送時間)は、AVB標準規格で2 ms(クラスAトラフィック)と定められています。

これは6台の100 MBit/sスイッチを経由する非常に大規模なネットワークでも十分な長さです。

ほとんどのAVB製品は、初期設定でこのオフセット機能が有効に設定されています。

ホップ数の少ない、またはリンク・スピードが1 Gbit/sの小規模なネットワークを使用する場合は、オフセットの値を1 ms、0.6 ms、0.3 msなど、より低く調整することが可能です。

レイテンシーに関するより詳しい技術情報はこちら

AVBの接続方法

一般的なMADI、AES、ADATなどのデジタル・オーディオデバイスは、アナログ機器のように出力を入力に接続していく「Point to Point」で繋ぐのに対し、AVBはそれぞれの機器をスイッチに接続していく「スター接続」となります。

Point to Point接続

Point to Point接続は、アナログ機器や従来のデジタル機器のように、入力する機器に対して出力を接続していきます。

 

Point to Pointの場合、上でも述べた通り、特に大規模なシステムを構築する場合はルーティングやクロック管理が複雑化し、それによってシステム設計も複雑化し、トラブルシューティングに時間がかかる場合があります。

スター接続の場合は、接続が極めてシンプルで、全てのルーティングをソフトウェア上で管理できますので、シンプルな運営が可能です。

スター接続

スター接続は、それぞれの機器をスイッチに接続してAVBコントローラーで信号の流れを設定します。

 

また、接続されるデバイスは必ずしも同期していなくても良いというメリットが挙げられます。つまり複数のマスター・クロックが同じネットワーク上に存在していても、送受信されるデバイスのストリームが同期していれば伝送は可能で、共存させることができます。

AVBコントローラー・ソフトRME Digiface AVBとHive

機器をスイッチに接続したら、AVBの機器コントローラー規格であるAVDECCに対応するAVBコントローラー・ソフトでルーティングを行います。

RME Digiface AVBをお使いの場合はRME AVB Controllerソフトウェアをご利用いただけます。

コントローラーも無償で配布されています。

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