AVB/Milanとは | AVB「Milan」準拠のファームウェアをリリース開始
▪️ AVB/Milanとは?
異なるメーカーのネットワーク機器同士でも「即接続・即動作」が可能な、AVB技術に基づいたプロオーディオ向けのオープンかつ相互運用性に優れたネットワーク規格(Avnu認証取得)
▪️ 3つの大きな特長
設定不要:自動同期・自動再接続に対応し、トラブルを最小限に
完全互換:Avnuアライアンスの認証により、他社Milan対応機器とも確実に連携
高精度&ディターミニスティックな伝送:IEEE 802.1AS(gPTP)によるナノ秒単位の時刻同期と帯域予約で、ディタミニスティック(確定的)なリアルタイム伝送を実現
▪️ 導入に最適なシーン
・プロオーディオ、商業AV、設備音響など、安定性・拡張性・保守性が求められるネットワーク・オーディオシステムに最適
・ライブ現場、スタジオ、劇場、放送設備など、異なるメーカーの音響機器が混在する現場でも高い互換性と信頼性を発揮
・ネットワーク・オーディオをシンプルかつ安定して構築・運用したい方
・システムの将来性や標準化を重視し、長期的に安定運用できる音響ネットワークを構築したい方
かつて、プロオーディオの世界では、音声信号はアナログケーブルによって伝送されていました。しかし、技術の進化により、オーディオ伝送の方法は大きな変革を遂げてきました。
1980年代には、オーディオのデジタル化が始まり、AES3(AES/EBU)などの初期デジタルオーディオ規格が登場。1990年代にはADAT、MADI、TDIFといったマルチチャンネル対応のデジタル伝送フォーマットが普及し、レコーディングやライブPAの現場での利便性が飛躍的に向上しました。
2000年代に入ると、デジタルミキシングコンソールの普及とともに、音声と制御の統合、柔軟なルーティング、遠隔操作といったニーズが高まり、ネットワーク技術の導入が始まります。この流れの中で登場したのが、CobraNetやEtherSoundなどの初期ネットワーク・オーディオ規格です。これらはイーサネットを活用した先駆的な試みでしたが、構成や遅延面で限界もありました。
その後、2006年に登場したDanteは、IPベースの柔軟な構成と高い互換性を実現し、商業施設・ライブ・放送を中心に急速に普及。さらに、放送業界を中心にRavennaも登場し、オープンなIPベースのオーディオ配信規格として、AES67との高い互換性を持つことでも注目されています。
こうしたネットワーク・オーディオ技術の進化のなかで誕生したのが、AVB(Audio Video Bridging)、そしてそれに基づくプロオーディオ向け規格であるMilan(Media Integrated Local Area Network)です。
ネットワーク・オーディオやAVBの詳細はAVBインフォメーションをご参照ください
Milanは、ライセンス料が不要な完全にオープンなネットワーク規格でありながら、プロフェッショナルな現場で求められる安定性・高精度・拡張性を実現しています。単なるオーディオ伝送規格ではなく、ネットワークの接続方法、デバイス認証、ストリーム仕様、クロック同期などを包括的に定義します。
これにより、Milan認証を受けた機器同士であれば、メーカーを問わず即座に接続・動作が可能であり、現場でのトラブルや複雑な設定作業を大幅に軽減します。この「相互運用性を保証するオープン・ネットワーク」という思想は、Milanがオーディオ・ネットワークの次世代標準として、いまプロオーディオ業界で急速に注目と採用を広げている大きな原動力となっています。
近年、プロオーディオ分野においてAVB/Milan対応製品の導入が広がりを見せています。その背景には、技術的な成熟に加え、コスト面や運用環境の変化が大きく影響しています。
Milanの基盤となるAVB技術は、すでに10年以上前に登場していましたが、当初はMilanに対応するために必要なAVBスイッチの価格が非常に高価であり、導入の大きな障壁となっていました。これは、AVBスイッチが複雑な仕様への対応と、厳格な認証をクリアする必要があったためです。
しかし近年、自動車業界でAVB/TSN技術の採用が進んだことにより、スイッチの量産が加速し、開発コストが下がったことで、プロオーディオ市場にも導入しやすい環境が整いつつあります。
現在、ネットワーク・オーディオにはDante、AES67などさまざまな技術が存在し、それぞれに適した用途や導入のメリットがあります。Milanはその中でも、AVB技術の特性を活かし、ストリーム仕様やクロック設定を統一することで、異なるメーカー間での相互運用性に重きを置いたプロファイルとして設計されています。
特に、ライブ現場や劇場、放送設備などで異なるベンダーの機器が混在する環境において、接続や再接続の確実性を高めたいというニーズに、Milanは柔軟に対応できる特長を持っています。
Milanが注目される理由は、既存の技術と共存しながら、特定の要件に適応しやすい信頼性・柔軟性・拡張性を備えている点にあります。選択肢の一つとして、導入シーンに応じた現場主導の判断が可能な技術です。
AVBは、IEEE(米国電気電子学会)が策定したオープンなネットワーク規格で、音声や映像などのメディアデータを、決まった時間に、決まった順序で、安定して届けることを目的とした技術です。通常のイーサネットでは保証されない「時間の確実性」を提供するために、帯域の予約、優先制御、時刻同期などの技術を組み合わせて設計されています。
Milan(ミラン)は、このAVB技術をベースに、プロオーディオ用途に必要な仕様を明確に追加したプロファイルです。AVB自体は柔軟性が高い分、機器ごとに実装のばらつきがありました。Milanはその課題を解決し、異なるメーカー間でも完全な相互運用性が保証されるよう、ストリーム形式・サンプルレート・チャンネル構成・クロック同期などの詳細仕様を標準化しています。
Avnuアライアンスは、AVBおよびTSN(Time Sensitive Networking)の推進と普及、ならびにMilan規格の維持・認証を担う業界団体です。Wi-Fiアライアンスが無線LAN機器の相互運用性を認証するように、AvnuはMilan対応機器の相互運用性を保証し、ユーザーが安心して製品を組み合わせられる環境を提供しています。
Avnuは、オーディオ・映像・産業・自動車など複数の業界の企業が参加しており、Milan Working Groupという専門部会を通じて、プロオーディオ機器のための仕様策定を継続的に行っています。認証に合格した製品には「Milan Certified(Milan認証)」のロゴが付与され、機器間での互換性が担保されていることが保証されます。
IEEE | 世界最大の電気・電子工学関連の標準化団体。Wi-FiやEthernetなども策定。 |
IEEE 802.1 | IEEE内の委員会。イーサネットの拡張仕様(QoS、時刻同期など)を策定する。 |
TSN (Time-Sensitive Networking) |
AVB技術を基盤として拡張され、イーサネット上で時間に正確なデータ伝送を実現するIEEE 802.1標準規格群の総称。AV分野に加え、産業制御・車載等へも応用。 |
AVB (Audio Video Bridging) |
音声・映像ストリームをリアルタイムに確実・低遅延で伝送するIEEE標準規格群(レイヤー2)。TSNの重要構成要素。 |
Avnuアライアンス | TSN/AVB/Milanの相互運用性を保証する認証団体。プロAV・車載・産業分野のベンダーが参加。 |
Milan (Media Integrated Local Area Network) |
Avnuアライアンスが策定した、AVB規格に基づくプロオーディオ向けネットワーク規格。異なるメーカーの機器間で確実に接続・動作できることを目的とする。 |
IEEE 802.1に基づいた完全オープン仕様で、ライセンス料は不要。Milan認証を受けた機器同士であれば、メーカーを問わず接続・運用が可能です。
ストリームの伝送タイミングを事前に予約し、帯域や遅延を予測可能に制御。音声の途切れやズレを防ぎ、安定したリアルタイム伝送を実現します。
AVBのgPTP(Precision Time Protocol)により、すべての機器がナノ秒単位で同一の時刻を共有。高精度なクロック同期が可能です。
IPアドレス設定は不要で、MACアドレスベースの通信により低遅延・簡単な設定が可能。オフィスLANやスタジオ設備などの既存のイーサネットネットワークにも導入しやすい構成です。
ストリームはマルチキャスト方式で配信され、スイッチが接続先ポートを自動制御。不要な帯域消費を抑え、スケーラブルなネットワーク構築が可能です。
MilanはAVB機能を備えたスイッチ(AVBスイッチ)を前提としており、高精度かつ安定した制御が可能です。
スター接続によりネットワーク構成がシンプルで視覚的にも分かりやすくなります。各ネットワーク機器が中央のスイッチに個別に接続されるため、トラフィックの衝突やルーティングの複雑化を防ぐことができます。これにより、安定した通信とトラブルシューティングの容易さが実現します。
Milanは自動設定と相互運用性を重視した設計となっており、音響エンジニアが専門的なネットワーク知識を持たなくても扱いやすいのが特長です。VLANやQoSなど複雑な構成は不要で、対応デバイスをスイッチに接続するだけで自動的に同期・接続が行われます。
Milanは、非圧縮の高音質オーディオ信号を、安定かつ高密度に同時伝送できるよう設計されています。
実際に伝送可能なチャンネル数は、ネットワークの帯域幅、サンプルレート、伝送フォーマット(プロトコル)、および1ストリームあたりのチャンネル数といった複数の要素に依存しますが、条件が整えば数百チャンネル以上の同時伝送も可能です。
AVBでは、複数のオーディオチャンネルを「ストリーム」という単位にまとめて伝送します。
現状、ほぼすべてのAVB対応製品が送信・受信ともに8チャンネル構成のストリームに対応しています。
さらに、Milan規格に準拠した機器では、AES67と同様に、1、2、4、6、または8チャンネル構成のストリームの送信が可能であり、受信側はそのいずれの構成にも対応して受信できることが求められています。
このように、ストリーム構成やチャンネル数が標準化されていることで、異なるメーカー間でも高い互換性を維持しつつ、柔軟かつ拡張性の高いマルチチャンネル構成の構築が可能となります。
Cat5e/6のケーブルで最大100mの伝送が可能です。
AVBに準拠した機器であれば、一度ストリーム接続が確立すれば、AVBの基本機能(高精度同期、帯域予約、マルチキャストなど)を活用することは可能です。しかし、非Milan製品との比較では、運用面でいくつかの重要な違いが存在します。
つまり、Milan対応でないAVB製品でも一定の互換性はありますが、長期運用やシステム拡張を見越すと、Milan認証製品を選択することで信頼性と保守性が大きく向上します。
①Milan認証対応オーディオ機器
マイクプリ、コンバーター、インターフェース、DSP機器など。Avnu認証済みのMilan製品にはMilanロゴが表示されています。
②AVB(Milan対応)スイッチ
802.1AS / 802.1Qav / 802.1Qat / 802.1BA に準拠。
※Avnu認証スイッチが推奨されます(例:Luminex GigaCoreシリーズ など)
③LANケーブル(Cat5e、Cat6以上推奨)
AVBはレイヤー2通信のため、IP設定は不要ですが、ケーブル品質は重要です。光ファイバーに配線を切り替え可能。
Milanコントロールアプリケーション(例:Milan Manager)
ストリームの接続・監視・トラブルシューティングが簡単に行える
安定性・低レイテンシー・高音質を誇るRMEの技術力を活かし、Milan認証を取得したネットワーク・オーディオ製品の開発にも力を入れています。
Milan認証により、RME製品は他社のMilan対応機器と完全に相互運用可能となり、柔軟で堅牢なAVB/Milanベースの音響システム構築を可能にします。
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