近年、映画、音楽、ゲームなどのエンターテインメント分野において、イマーシブ・オーディオ技術の普及が急速に進んでいます。その立体的で臨場感あふれるサウンド体験は、リスナーを新たな音響次元へと誘います。
RMEは、イマーシブ・オーディオ再生システムの中核を担うオーディオ・インターフェイスやDAコンバーターのリファレンス・モデルを長年にわたり提供し、国内外で他に類を見ない実績を築いてきました。Dolby Atmos、Auro 3D、Sony 360 Reality Audio、NHK 22.2といったさまざまなイマーシブ・フォーマットに対応するシステムも、RME製品を用いれば柔軟かつ確実に構築できます。
本ガイドでは、RME製品を活用した具体的なイマーシブ・オーディオのシステム構成例をご紹介します。
RMEのオーディオ・インターフェイスは、機種ごとにADATやMADといったIデジタル・オーディオ規格、さらにAVB/MILANのネットワーク・オーディオ規格に対応した多彩な入出力構成を備えています。これらの規格を活用することで、1本のオプティカル・ケーブルやLANケーブルだけで、多チャンネルのオーディオ信号を効率的に伝送することが可能です。
RMEのDAコンバーターも、対応する規格やチャンネル数に応じて多彩なモデルが揃っており、各種イマーシブ・オーディオ・フォーマットに必要な出力構成に柔軟に対応できます。Dolby AtmosやAuro 3Dなど、フォーマットごとに異なるチャンネル数に合わせて、最適なモデルを選択可能です。
製品例:
これらのDAコンバーターは、AVB/MILAN、MADI、ADATといった各種デジタル・オーディオ規格に準拠し、さまざまなシステム構成に柔軟に対応します。
※M-32 DAで全32チャンネルを使用する場合、サンプル・レートは最大96 kHzに制限されます(192 kHz時はMADIチャンネル数が16に制限されるため)。
※M-32 DA Pro IIおよびM-1620 ProのMADIオプティカル接続には、別売のSFPモジュールが必要です。
16チャンネル分のアナログ出力を備えたDAコンバーターを使用することで、以下のような主要なイマーシブ・オーディオ・フォーマットに対応するシステムを構築できます:
以下より、使用するオーディオ規格(ADAT、MADI、AVB/MILAN)ごとに、システム構成例をご覧いただけます。
オーディオ・インターフェイスMADIface USBまたはMADIface XT IIと、MADI対応のハイエンドDAコンバーター M-16 DAまたはM-1620 ProをMADIで接続したシステム例です。
MADI(Multichannel Audio Digital Interface)は、1本の同軸ケーブル(BNC)またはオプティカル・ケーブルで最大64チャンネル(48kHz時)のオーディオ信号を、長距離にわたって安定的に伝送できる、業界標準のデジタル・オーディオ規格です。
インターフェイスとDAコンバーターをMADIケーブル1本で接続し、DAコンバーターのアナログ出力(TRSまたはD-sub)を介して各スピーカーへ信号を出力します。
MADI 1回線あたりのチャンネル数:64ch@48 kHz、32ch@96 kHz、16ch@192 kHz動作時
以下は完了製品
MADIface XT / MADIface Pro / Fireface UFX+
以下は完了製品
M-32 DA Pro
オーディオ・インターフェイス Digiface AVBとハイエンドDAコンバーターM-1620 ProをAVBで接続したシステム例です。
AVB(Audio Video Bridging)は、標準的なLANケーブル1本で多チャンネルのオーディオ信号を、安定かつ高精度に伝送できる次世代のネットワーク・オーディオ技術です。
AVB対応のRMEオーディオ・インターフェイスとDAコンバーターを、LANケーブルで直接接続するか、AVBスイッチを介して接続します。その後、DAコンバーターのアナログ出力(TRSまたはD-sub)から各スピーカーへと信号を出力します。
AVB/Milanは1ストリーム x 8回線あり、1ストリームあたりのチャンネル数を8chにした場合、48〜192 kHzで増減なし。8ストリームあるため、64chの伝送が可能。
以下は完了製品
M-32 DA Pro
オーディオ・インターフェイスDigiface USBまたはFireface 802 FSと、ハイエンドDAコンバーター M-16 DAまたはM-1620 ProをADATで接続したシステム例です。
ADAT対応のRMEオーディオ・インターフェイスからのADAT出力を、DAコンバーターのADAT入力に接続し、そこからアナログ出力(TRSまたはD-sub)を介してスピーカーへ信号を送ります。
ADATは1本の光ケーブルで最大8chのオーディオ信号を伝送できるため、16ch構成の場合はADATケーブルを2本使用します。
ADAT 1回線あたりのチャンネル数:8ch@48 kHz、4ch@96 kHz、2ch@192 kHz
以下は完了製品
Fireface 800 / Fireface UFX / Fireface UFX+など
イマーシブ・オーディオには、NHK22.2のような20チャンネルを超えるスピーカー構成を必要とするフォーマットも存在します。RMEのオーディオ・インターフェイスおよびDAコンバーターを活用すれば、このような大規模なチャンネル構成にも柔軟に対応できます。
たとえば、NHK 22.2フォーマットでは、スピーカーを 上・中・下の3層に配置し、22本のスピーカーと2本のサブウーファーで構成されます。このような構成には、最大32chのアナログ出力を備えるM-32 DAやM-32 DA Pro IIなどのDAコンバーターを使用することで対応可能です。
※16chを超えるフォーマットで、192 kHz再生を行う場合は、MADI 2系統での接続が必要です。対応機種はM-32 DA Pro、M-32 DA Pro IIのみとなります。
サンプル・レートによるチャンネル数の制限
MADI接続では、サンプル・レートに応じて使用可能なチャンネル数が変動します。たとえばM-32 DAをすべてのチャンネルで使用する場合、最大サンプル・レートは96 kHzに制限されます(192 kHz時はMADIのチャンネル数が16chとなるため)。
また、M-16 DAやM-32 DAを使用する場合は、ADAT端子経由での接続も可能です。たとえば Digiface USBなどを使用する場合、サンプル・レートとチャンネル数の関係にご注意ください。
接続例:
- M-16 DA(MADI接続):最大192 kHzまで全16チャンネル使用可能
- M-32 DA(MADI接続):最大96 kHzまで全32チャンネル使用可能
- M-16 DA(ADAT接続):最大96 kHzまで全16チャンネル使用可能
- M-32 DA(ADAT接続):最大48 kHzまで全32チャンネル使用可能
バイノーラル試聴環境の構築
イマーシブ・オーディオ制作では、スピーカーによる再生に加えて、ヘッドフォンやイヤホンを用いたバイノーラル再生環境も重要です。
RMEのオーディオ・インターフェイスには高品質なヘッドフォン出力が搭載されているモデルが多く、イマーシブ再生と並行してバイノーラルでのモニタリングが可能です。
もしヘッドフォン端子が非搭載、または使用中である場合でも、未使用のデジタル出力(AES / ADAT / SPDIF)またはアナログ出力を利用して、ヘッドフォン用のDAコンバーターを追加接続することでバイノーラル再生専用のモニター環境を柔軟に構築できます:
例1:12ch再生システムをFireface UFX IIで構築し、ADI-2 DAC FSをADAT経由で追加 → バイノーラル用のモニタリング環境を実現
例2:16ch再生システムをMADIface USB + M-16 DAで構築し、Auro 13.1(14ch)のシステムにおいて空きのアナログ2chにバイノーラル信号を割り当て → ADI-2 Proシリーズをアナログ経由で追加してモニタリング環境を実現
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